研究課題/領域番号 |
15K13053
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
吉田 満梨 立命館大学, 経営学部, 准教授 (30552278)
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研究分担者 |
栗木 契 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90294397)
高瀬 進 山口大学, 技術経営研究科, 准教授 (90724047)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | エフェクチュエーション / 戦略直観 / プロトコル分析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、近年起業家研究で注目される「エフェクチュエーション」の概念と、既存のマーケティング理論との接合、および経験的調査(事例研究およびプトロコル分析)を通じたマーケティング課題に対する適用可能性の検討を行い、事象の分布の唯一性を仮定できない市場環境に対応するマーケティング活動のための新たな理論的仮説の構築を行うことである。 初年度である平成27年度は、エフェクチュエーションを伝統的なマーケティング理論とどのように接合できるかについて、関連研究の整理と、研究会での議論を通じて検討を行った。 関連研究の整理としては、Academy of Management Reviewに掲載されたArend et al.(2015)による批判論文をきっかけとする方法論論争と、エフェクチュエーションを企業のR&D活動へと適用したBrettel et al. (2012)の論文の意義を整理し、さらに研究代表者・分担者によりSarassarasvathy著Effectuationの翻訳書の出版を行った(加護野忠男監訳、高瀬進・吉田満梨訳『エフェクチュエーション:市場創造の実効理論』碩学舎)。 研究会としては、日本マーケティング学会のリサーチ・プロジェクトを立ち上げ、2015年9月13日には、訳書の監訳者である加護野忠男氏(甲南大学 特別客員教授、神戸大学 名誉教授)と、日本のマーケティング研究者を代表する石井淳蔵氏(流通科学大学 学長、神戸大学 名誉教授)の講演・対談による、「経営学・マーケティング論の理論潮流とエフェクチュエーション」を開催し、多くの来場者と有意義な議論を得た。さらに11月29日に開催された、日本マーケティング学会 マーケティングカンファレンス2015では、リサーチプロジェクトセッションを開催し、研究代表者・分担者による研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存研究のレビューを通じた理論的な検討は順調に進められており、また訳書『エフェクチュエーション:市場創造の実効理論』の出版や、日本マーケティング学会における研究会の開催など、初年度から積極的な研究成果の発信を行うことができている。こうした取り組みを通じて、2年目以降に予定している事例研究及びプロトコルデータ分析の準備も順調に進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の2年目以降は、文献研究を継続すると同時に、事例研究とプロトコルデータ分析による経験的調査を本格的に実施していく予定である。事例研究としては、平成27年度から、大企業型の新たな製品・サービス市場創造やビジネスモデルの革新プロセスの分析を行っており、プロコトルデータの分析に関しても、大企業のマーケターを対象とした研究計画は、対象者の選定、実験資料の作成を含め、順調に準備を進めることができている。平成28年度は、こうした経験的調査に本格的に着手しつつ、学会等での研究報告や学術論文の執筆、他の研究者や現場の実務者を交えた幅広い議論の場を設けることによって、研究成果の公表についても引き続き、積極的に実施していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費として支払い予定であった、学生アルバイトによる作業を平成27年度の執行期間中に完了することができなかったため、助成金を翌年度に繰越して支払いをすることとした。
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次年度使用額の使用計画 |
学生アルバイトの作業は既に完了しており、繰越した金額は人件費として執行させていただく予定である。
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