研究課題/領域番号 |
15K13053
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
吉田 満梨 立命館大学, 経営学部, 准教授 (30552278)
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研究分担者 |
栗木 契 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90294397)
高瀬 進 京都大学, 工学研究科, 研究員 (90724047)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | エフェクチュエーション / 経験学習 / 機会創出 / プロトコル分析 / 事例研究 |
研究実績の概要 |
研究期間の2年目となる平成28年度は、文献研究を継続すると同時に、1.事例研究と、2.プロトコルデータ分析による経験的調査を、本格的に実施することを当初の活動計画としていた。 1.事例研究としては、大企業型の新たな製品・サービス市場創造やビジネスモデルの変革プロセスを対象とすることを計画しており、実際に、ネスレ日本、パナソニック、伊藤園、コマツといった事例について、エフェクチュエーションの視点からの分析を進めることができており、順調に進捗している。いくつかの事例研究の原稿は、すでに公刊されてもいる。 2.もう一つの研究の柱として、Sarasvathy(2001)以降の研究において展開された、起業家の意思決定を分析する研究についても、大手消費財企業のマーケター、産業財メーカーの営業担当者、商社・広告代理店など、大企業型のマーケティング機能の担い手を対象としたものに拡張して実施することを計画していた。事例研究とマーケターへのヒアリングに基づき、調査計画を進めている。 研究成果は、逐次学会・研究会にて広く公表しており、平成28年度は日本マーケティング学会のリサーチプロジェクトにおける研究会(1月)と全体の研究報告会(3月)を実施して、ゲスト講演者と多くの聴衆から、今後の研究計画に活かすことのできる多様なフィードバックを得ることができた。また、神戸大学専門職大学院や関西学院大学ビジネススクール、近畿経済産業局においても、招聘を受けての研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で書かせていただいた通り、事例研究は順調に進捗している。 一方、プロトコル分析を中心とした意思決定のプロセス分析を行うに当たって、元々は起業家に用いられた当初の方法をそのまま適応することを検討していたが、研究対象となりうる複数のマーケターへのヒアリング調査や事例研究の結果、異なる文脈に合わせた新たな課題設定と調査計画の立案が必要なことを認識するに至った。その結果、当初計画から若干のスケジュール的変更を行うが、より実りある研究成果を出すために、慎重に調査設計を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成29年は、当初から経験的調査の継続に加えて、研究成果の公表と、海外のエフェクチュエーション研究との接続を大きな課題として設定していた。 経験的調査については、これまでの実務家へのヒアリングと双方向的なディスカッションの機会を通じて、起業家と大企業の新規事業創出者のそれぞれが置かれた環境について、何が大きな相違点となるのかについての整理を行うとともに、エフェクチュエーションの論理についてのより深い理解と視点の獲得が可能となっている。それを元に調査設計を行い、5月21日(日)に日本消費者行動研究学会で発表し、フィードバックを元に詳細を確定していき、今年度の秋までを目途にデータの収集・分析を完了する計画である。 Sarasvathyを中心とする海外のエフェクチュエーションの研究コミュニティとの連携については、ダーデン・スクールにて開催される2017 Effectuation Conferenceでの研究発表を計画していたが、主催者の事情で延期となり、代わりにAcademy of Managementでのセッションにてディスカッションの機会を得たいと考えている。 こうした活動を通じて、最終的には成果としての論文を、海外ジャーナルを含めた公刊雑誌に掲載することを目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度にプロトコル分析の調査計画について、大きく見直す必要が生じ、調査実施計画が一部後ろ倒しになっているため。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度予定していた、大企業におけるマーケティング機能担当者に対する調査計画を今年度実施する。
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