研究課題
管理会計という実務との相互作用が無視できない重要性をもつ学問において,実務実践と理論研究との相互発展を可能とする知のあり方を「臨床会計学」として構想し,帰納的に臨床会計学的知見を蓄積するととともに、その具体化を進めるための社会的仕組みを提案し、研究主体の学問的世界の基本構造を作りかえていくという高次の再帰性を織り込んだアクションリサーチ・プログラムを実施した。「臨床会計学」とは,経営者や経営企画部門スタッフによって経営現場で用いられている会計の実践的な知恵と,会計研究者の理論的知識を結びつける知のあり方である。本研究では,管理会計の分野において実践知と理論値を結びつけて活動している臨床知の持ち主(臨床会計家)を同定し,臨床会計学構築に向けた社会的ネットワークとその活用方法について検討し、その具体化をはかった。そのうえで臨床会計学構築に向けたメゾレベルの社会的仕組みを、「研究に基づいた教育」「教育に裏付けられた実務」「実務に基づいた研究」の善循環として実現すべく、教育制度・資格制度・会員制度のそれぞれについて提案し、教育制度については「経営会計士養成プログラム」として、資格制度については「経営会計士」資格として、会員制度としては「経営会計士協会」として実現した。さらに実務(家)と研究(者)を結びつける研究の場として「経営会計士研究学会」を設立する予定である。経営会計士研究学会は、経営会計士養成プログラムで教育を受けた専門家である経営会計士が、それぞれの実務経験を持ち寄り研究者と協力しつつ、臨床会計学的知見を共有し蓄積していく「場」として機能することが期待される。また、臨床的知見としては、管理会計実践の持つリズムの抽出や内外の利害関係者との調整プロセスに関する知見を得た。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
Accounting, Auditing & Accountability Journal
巻: forthcoming ページ: 1-24