研究課題/領域番号 |
15K13058
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
福井 義高 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (40322987)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 財務会計 |
研究実績の概要 |
本研究では、これまで進めてきた原理的メタ会計研究を継続発展させ、新たな会計研究の可能性を追求している。研究期間内に明らかにしたいのは、次の二点である。第一に、測定と実体の相互作用を念頭に、会計学の根底にある社会的事実としての経済現象の保存則と自然の会計学である物理学におけるエネルギー保存則の類似点及び相違点である。第二に、フロー流列の現在価値であるストック価値を不変量とする、経済現象を測定する座標変換の学として、会計学を再構築することの妥当性である。 本研究の学術的特色は、会計を諸学とりわけ経済学の知見によって分析される場あるいは対象として考察するのではなく、諸学との関連に留意しつつ、あくまでも会計固有の課題を主体的に探究する点にある。したがって、計量経済学の手法を用いて皮相的に実証科学化する、極言すれば経済学に従属させることに会計研究の意義を見出すのではなく、諸学の成果を取り入れると同時に、それらに貢献し得る自立した学問としての会計学確立を目指している。 本年度は、昨年度に引き続き、斎藤静樹東京大学名誉教授との共同研究を進め、会計測定の根幹をなす所得概念に関する論考を海外学術誌に公刊した。また、斎藤教授とともに、コロンビア大学スティーブン・ペンマン教授と会計測定に関する意見交換を継続的に行った。さらに、会計研究学会年次大会をはじめ、国内で活発に学術講演・報告を行うととともに、若手会計学者との研究会を定例的に開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いくつかの研究成果を発表することができた。具体的には、以下のとおり。 利益概念の原理的再検討を提唱する、斎藤静樹東大名誉教授との共著論文が、海外学術誌から出版された。オルソン・モデルを用いた実証研究の根本的な問題点について、学会で報告した。資産評価理論やコーポレート・ガバナンスと会計測定の密接な関連について、複数の研究会で講演・報告した。マイナス金利の会計問題に関して、動学的最適化の観点に基づく論文を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
経済現象測定の座標変換の学としての会計学にふさわしい方法論構築を進める。経済学及び会計学方法論の文献収集及び整理を行うとともに、国内外の学会や大学等研究機関でのワークショップ等に参加し、意見交換と情報収集を継続する。会計測定と現実の政策決定の関連を示す一例として、国鉄改革を取り上げ、可能であれば論文にまとめる。また、これまで定期的に行ってきた若手会計学者との研究会を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国外での研究成果発表を行わなかったことと、国内での成果発表時、一部先方負担があったため。
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次年度使用額の使用計画 |
国内外での研究成果発表を積極的に行う予定。
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