研究課題/領域番号 |
15K13059
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
伊藤 嘉博 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (10168388)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | サービタイゼーション / メーカーのサービス化 / ライフサイクル・プロフィティング |
研究実績の概要 |
研究初年度にあたる27年度は、主に内外のサービタイゼーションに関する先行研究のレビューを中心とした活動を行ってきた。あわせて、日本企業の実践事例を探索するためのリサーチも並行して行った。このリサーチは、わが国の製造業におけるサービタイゼーションの阻害要因ならびに促進要因を抽出することをを目的とするものであったが、当該諸要因の抽出作業そのものが現在実施中の段階であり、未だ体系的な整理には至っていない。ただし、先のリサーチからは、少なくとも、わが国の製造業では総じてサービタイゼーションへの取り組みが遅れているという確証を得るとともに、その意欲すら欠如している組織が多いことに驚かされた。その点では、サービタイゼーションが急速な勢いで広がりつつある欧米企業とは顕著な違いが出てきている。一部では、円安傾向が続き日本の基幹産業の輸出が堅調であることから、業態の戦略的な転換に対し、その必要性よりリスクを恐れているメーカーが多いことが背景にあるようだが、真の原因についてはさらに詳細な分析が必要となろう。 ともあれ、サービタイゼーションはわが国の製造業にとって、今後選択の余地のない喫緊の仮題となるものと考えられる。そこで、28年度以降は、その阻害要因を見極め、これを取り去るためのアプローチを検討するとともに、サービタイゼーションの深化の方向性を占うためのリーサーチに全力を傾ける所存である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本ではサービタイゼーションに関する研究は未だ緒についたばかりであり、海外に目を向けても、実務での展開を視野に置く操作性に優れた議論はほとんど存在しないのが現状である。くわえて、わが国では実務にあってすらサービタイゼーションに対する知識そのものが不足している傾向も否めない。そこで、この点も含めてわが国の製造業においてサービタイゼーションの進展を阻害している要因が何なのかをきっちりと見極めることが先決だと考え、初年度は先行研究のレビューとともに、当該要因を識別するためのリサーチ(主にインタビュー調査)を行ってきた。実は当初から、その要因は複合的なものと推測されたが、本研究が企図する操作性にすぐれた支援モデルないしツールを提示するためには、かかる阻害要因を明確にし、かつそれを封ずる対策を識別することが喫緊の課題であった。したがって、初年度の研究はこの問題に深くコミットすることを意図したものであった。ただし、フィールド調査を実施してみて、あらためてサービタイゼーションの阻害要因ばかりでなく、その促進要因となりうる潜在的なファクターが別途存在することも、一部ではあるが確認できた。その意味では、おおむね研究活動は計画通りに進んだと考えられる。 他方で、初年度から予定していた海外調査は、上記の諸要因の分析に手間取り、実施を見送らざるを得なかった。この調査はわが国の製造業で確認された阻害要因ならびに促進要因が、海外の製造業においても共通に識別可能かどうかを検証することが目的であった。とはいえ、先の諸要因に関する分析そのものは現在実施している段階であり、その結果、海外調査を次年度以降に延期することにした次第であり、また総合的に見て、研究活動が「やや遅れている」と評価した理由もそこにある。
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今後の研究の推進方策 |
サービタイゼーションに対する管理会計の主たる貢献は、LCC(ライフサイクル・コスティング)をベースとするモデルによって具現化されると考えられる。LCCはすでに半世紀を越えて議論され、かつ内外の実務で活用されてきた歴史を有するが、従来のモデルではサービタイゼーションの進化を背景とする実務のニーズに応えることは難しい。 すなわち、サービタイゼーションのもとで期待されるLCCは、特定の製品の製造と販売後のサービスの提供に関連する企業ないし組織が負担するコストを明確にするとともに、当該投資額をもって実現されるライフサイクル全般にわたる利益の推移を予測するものでなければならない。その意味で、本研究が企図するLCCは従来のそれとは根本的に性格を異にするものであり、この点を意識して本研究ではこれをライフサイクル・プロフィッティング(LCP)ととらえることにした。 ともあれ、本研究では過去多くの企業を対象に商品開発プロセスを調査・観察してきた経験を活かしながら、LCPのプロトタイプを構築し、モデルとして提示するための検討を行っていく予定である。さらに、提示されたLCPモデルの目的適合性の検証とともに、サービタイゼーションへのビジネスモデルの転換によって引き起こされる組織的問題への対処策の検討に必要な情報の収集も積極的に行なっていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定した海外調査を、研究活動の遅延により次年度以降に延期したため。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度中に、海外調査を実施し、研究活動の遅れを取り戻すべく、現在計画を練っているところである。
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