研究課題/領域番号 |
15K13064
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
藍澤 淑雄 秋田大学, 国際資源学部, 准教授 (20722317)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社会構造 / 社会的関係性 / セーフティネット / 零細金鉱業 / 農村自治体 / インフォーマル・セクター / タンザニア / アフリカ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、零細鉱業を取り巻く社会構造を明らかにすることである。この目的のもと2015年度には二つ活動を行った。一つ目はタンザニアにおける零細鉱業を取り巻く支援体制を明らかにするための文献調査ならびにタンザニア行政官へのインタビュー調査である。この調査では、零細鉱業の支援体制を明らかにすることで、零細鉱業を取り巻く社会環境についての基礎的な理解を深めることに狙いを置いた。研究成果として「Governance of Artisanal and Small-scale Mining (ASM) in Africa: Structural Factors behind Informal ASM Sector in Tanzania」というタイトルで学会発表を行うとともに、タンザニアの零細鉱業の支援体制における問題点を取りまとめた①「アフリカにおける資源ガバナンスの隘路:タンザニアにおける零細金鉱業の事例から」ならびにタンザニアの零細鉱業に関する法制度ならびに行政制度に関する課題を取りまとめた②「A Study on Legislative and Administrative Factors behind Informal Artisanal and Small-scale Gold Mining (ASGM) in Tanzania」というタイトルの2本の研究報告・論文を発表した。 二つ目はタンザニア国ゲイタ金鉱山地区における零細鉱業を取り巻く社会構造を明らかにするためのフィールド調査である。タンザニア国エネルギー・鉱山省等の協力を得ながら、ゲイタ地区零細金鉱業採鉱現場で活動する鉱業者を選定し約170のサンプルを収集した。そのうえで選定した零細金鉱業者に対して質問票を用いた構造化インタビューならびに非構造化インタビューを行って情報を収集した。研究成果として収集したデータの分析結果を取りまとめた2本の論文を投稿し現在査読審査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度の当初計画では、①事例研究の対象ならびにサンプルを選定しフィールド調査を行ったうえで、②零細鉱業に関わるアクター間の社会的な結びつきを明らかにすることを目標とした。①に関しては、計画通りタンザニアのゲイタ金鉱山地区を対象としてサンプルを選定しフィールド調査を行った。計画と異なったことは、フォーマル・セクターとインフォーマル・セクターの両方に対して質問票を用いた構造的・非構造的インタビューを行う予定であったのが、フォーマル・セクターの零細鉱業者に対してのみこの方法で情報収集するにとどまったことである。これはインフォーマル・セクターの零細金鉱業者に対する調査にはリスクが伴うため調査を最小限にすべきとのエネルギー・鉱山省のアドヴァイスによる。このためインフォーマル・セクターに関しては、質問票を用いない非構造的なインタビューのみを行うことで情報収集した。 ②に関しては、計画通り収集したデータに基づいて、零細鉱業に関わるアクター間の社会的な結びつきについて分析を行った。零細金鉱業の採鉱権保有者(primary mining license holder)、採鉱管理者(pit holder)、採鉱作業者(digger)を中心とした、相互の関係性について分析を行い論文に取りまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度は、採鉱権保有者(primary mining license holder)、採鉱管理者(pit holder)、採鉱作業者(digger)を中心とした零細鉱業の主要アクターと農村コミュニティとの社会的関係性を明らかにするため、零細鉱業とコミュニティの関係について、サンプルの零細鉱業採鉱場が存在する村のリーダーたち(村議会議員、集落の代表、村行政官等)に質問票を用いた構造化インタビューと非構造化インタビューを行う予定である。
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