研究課題/領域番号 |
15K13065
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
黒嶋 智美 千葉大学, 文学部, 日本学術振興会特別研究員(PD) (50714002)
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研究分担者 |
西阪 仰 千葉大学, 文学部, 教授 (80208173)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 会話分析 / 東日本大震災 / 原子力発電所爆発事故 / 相互行為 / 支援 / 帰還 / 感情 / 災害 |
研究実績の概要 |
今年度前半は,昨年度までに収集した住民への聞き取り調査,帰還支援NPOの会議場面の分析を報告書の形にまとめ,研究に参加していただいた住民の方々や,支援団体及びその関係者に分析結果を8月に配布する形で報告した.住民聞き取りの報告書第一部では,住民らによって語られた内容を項目ごとに整理し,まとめた.第二部では,住民らが語った様々な感情や問題を支える論理がどのように組み立てられているのかをその語られ方にもとづいて示した.また,NPO会議場面の報告書では,ミーティングにおける会話構造の特徴や,住民支援の具体的な提案がどのような論理にもとづいて組み立てられるのかなどを明らかにし,具体的な実践上の示唆も行った.住民聞き取り調査は,昨年度に話を伺った住民に何名か再度聞き取りをし,来年度も同様に継続していく予定である.NPOはその最終年度で組織改変が行われることも鑑み,NPOが住民と主催している座談会を新たな調査対象にし,来年度も調査を継続予定である.前年度から分析を継続している内部被ばく検査結果通知場面については,研究分担者である西阪が,心配や安心などの感情がどのように概念的に知識と関係し相互行為を展開させているかについて明らかにした.たとえば,ある知識の獲得(放射能について)が特定の感情と結び付けられることによって示されたり,逆に感情の表出を避けるかたちで知識の獲得だけを表明することで,感情表出にまつわる道徳性への志向を示されることが分析によって明らかにされた.また,研究協力者の須永と代表者の黒嶋は,この場面にみられる結果通知の組織化がどのように達成されているのかを明らかにしている.これらの具体的な社会的活動は,これまでに経験されることのなかった事象によってもたらされたこともあり,その相互行為の組織を明らかにすることで新しい知見を提供した.来年度7月の国際学会でも報告される予定である.
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