本研究はデジタル情報化、グローバル化の中、メディアの倫理についてコスモポリタニズムと人道主義の観点から検討を試みるものである。欧州では、メディアはグローバル化の文脈に置かれ、とくに「遠くの苦しみ」への共感と連帯の創出が、その倫理的なあり方として問われている。研究代表者は、米国、英国、ドイツに滞在した後、その実践と知見に基づきマイノリティとメディアに関する一般向けのシンポジウムを2度開催した。また、商業主義および一握りのテクノロジー企業の寡占状態の進行によってメディアの倫理が侵食されていく世界のメディア状況について新書を著し、メディアの困難をグローバルなコンテクストで問いかけた。
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