研究課題/領域番号 |
15K13067
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
川端 由美子 お茶の水女子大学, 学内共同利用施設等, 講師 (60626034)
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研究分担者 |
駒川 智子 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50466439)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 転勤 / 帯同 / 離職 / 女性 / 就業 / キャリア断絶 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、女性のキャリア断絶に関して、これまで注目されることが少なかった「転勤帯同」に着目し、その実態を明らかにすることである。女性の就業継続支援については、これまで様々な施策が展開されてきたものの、出産・育児期の両立問題にあるという視点での対応策が中心であった。しかし、女性の離職理由としては、「結婚に伴う転居」が一番多く、結婚後に夫の転勤に帯同するため、妻が離職する傾向もみられる。かつては、企業側の妻の就業に対する認識は低く、夫の異動時の阻害要因にならなかったが、現在では、夫の転勤が企業における女性活用時の課題の1つになっている。女性の活躍が進むほど、転勤への対応とそこから生じる問題は、今後男女共通に直面する喫緊の課題である。そこで、本研究では、「転勤帯同」の実態を明らかにする。 研究の方法としては、社会調査の二次分析および文献調査である。具体的な研究計画としては、第一に「転勤帯同」による離職者の特性探索、第二に「育児支援策以外」の人事・福利厚生制度の実態検証、第三に「育児支援策を含めた」制度の実態検証をおこなう。平成27年度に実施した研究の成果は下記のとおりである。
1.社会調査の二次分析:内閣府 男女共同参画局(2006)「女性のライフプランニング支援に関する調査」の二次分析により、「転勤帯同」による離職者の特性探索をおこなった。その結果、先行研究の知見を適用できるとは言い難い特性が明らかとなり、研究論文としてまとめ、所属学会に投稿した。 2.文献調査:女性、転勤、労働等のキーワードを中心に、約200件の先行文献を入手し、リストを作成した。 3.企業等における人事・福利厚生制度の調査:15社に対してヒアリング調査を実施した。また、転勤帯同制度導入企業に対するインタビュー調査を実施し、制度利用者に対するインタビュー調査もおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に予定していた2つの研究方法(1.社会調査の二次分析、2.文献調査)のすべてをおこなうことができた。当初の計画では、平成29年度に所属学会にて研究発表報告の予定であったが、研究が順調に進展したことから、平成27年度に所属学会にて研究発表報告をし、研究論文としてまとめることができた。さらに、当初の計画にはなかった転勤帯同制度導入企業に対するインタビュー調査および制度利用者に対するインタビュー調査も実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の研究成果により、転勤帯同による離職経験者の特性として、初職では正社員であっても現在は過半数が働いておらず、無職になる傾向があり、勤務先による支援は現実的ではないことが明らかとなった。そのため、当初予定していた人事・福利厚生制度の実態検証を「育児支援策」の観点でおこなうのではなく、「配偶者の転勤」への対応を中心に調査していくこととする。
1.社会調査の二次分析 ・転勤帯同による離職経験者の特性 ・企業等における人事・福利厚生制度の調査(配偶者の転勤への対応を中心に) 2.転勤に関する文献調査
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時点と交付後における所属大学(地域)が異なるため、出張等の経費が抑えられたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
当初予定していなかったインタビュー調査を実施したため、テープ起こし等の費用として使用予定である。
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