ロシア社会において移民労働者たちは,ロシア社会が移民達に向けられるゼノフォビアや国粋主義的な感情のなかで非移動性を強いられ,隔離を経験している。移民労働者たちは,自らを守るためにロシア社会と距離をおき,また,ロシア市民もまた彼らとの境界を維持しようとする。本研究は,そうした隔離,集住,わなが移民側から,もしくは,受入社会側からどのような社会的実践をもって境界を維持しているのかを明らかにした。本研究課題では,特に,移民たちが働き,集住し,隔離されている場としての市場(いちば)や仕事場に着目した。彼らの境界維持は社会的に構築されたものであり,その社会的実践を観察し,境界維持のあり方を明らかにした。
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