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2017 年度 実績報告書

トランスナショナルなアソシエーション活動の可能性―フェアトレードによる構造変革

研究課題

研究課題/領域番号 15K13070
研究機関神戸大学

研究代表者

太田 和宏  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (00273748)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードフェアトレード / アソシエーション / トランスナショナル
研究実績の概要

2年間の研究予定期間の延長を願い出て、聞き取り調査のできなかった対象組織を訪問し情報を得ることができた。2017年度には、フィリピンでも最大規模のフェアトレード活動規模と長い活動年数を誇るAlter Trade Philippines (Negros)のバランゴン・バナナの生産管理状況を調査した。日本人の関与で始まった活動も今では現地人スタッフでほぼ運営をし、またフィリピンにおける時代状況と組織農民・労働者の実情、消費者の動向に合わせて、常に新しい戦略を展開している実態が見られた。
日本国内の取り組みとして、近年フェアトレードタウン宣言をした浜松市の、はままつフェアトレード・ネットワークを訪問し、その組織経過と活動実態について情報を得た。従前からの有機農業、自然食品普及活動、地域活性化のための森林保護活動などの利害の集約、強力なリーダーシップのもと、行政や政治家を巻き込みながら運動が展開した実態が見られた。
調査研究を通じて明らかになったことは以下である。生産者を組織するフィリピンでは、一方で住民・地域組織と生活改善、社会変革といった理念を掲げつつ、また一方では市場を通じたビジネスに取り組み、それを実現しようとする試みが続けられている。公正さ、社会正義、生態系保全、食・生活の安全といった一般市場では軽視されがちな価値を商品に付与することによって新しい消費者、市場の形成をめざしている。反面、一般市場との競合による厳しい条件もつきつけられている。他方、消費側である日本での取り組みは、フェアトレードを通じて消費者意識や市場の在り方、また途上国との関係を変えていこうとする方向性を、国内の諸条件、つまり地域おこし、環境保護、自然食志向等の諸要素を取り入れる中で実現しようとしている。近年盛んになりつつあるフェアトレードタウン運動は、行政をも巻き込んだ新しい可能性を秘めた戦略である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 貧困の社会構造分析2018

    • 著者名/発表者名
      太田和宏
    • 総ページ数
      245
    • 出版者
      法律文化社
    • ISBN
      978-4-589-03884-5

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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