司法改革後の弁護士の労働環境についてインタビュー調査をおこなった。弁護士数の急増により、需要と供給のバランスが崩れ、経済的に困窮する弁護士が増加している。その結果、多数の件数を扱わざるを得ない状況を生みだし、弁護士の多忙感が増している。さらに単価の低下がその傾向に拍車をかけている。経済状況の悪化は、キャリア初期の弁護士の事務所への就職状況の悪化にもつながっている。これは、本来事務所で経験を蓄積する機会を減少させ、弁護士のスキルや知識の低下だけでなく、倫理的な成熟にも影響を及ぼしていると考えられる。また、就職に際して、女性弁護士は一層不利な立場におかれていることもインタビューにより確認された。
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