研究課題/領域番号 |
15K13081
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
松田 ヒロ子 神戸学院大学, 現代社会学部, 准教授 (90708489)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 口述記録 / 現代史 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、冷戦期(1945-1989年)の日本において市民社会がいかに国防を支えてきたのか明らかにし、同時に自衛隊基地や防衛産業によって人びとの生活がどのように変容してきたのか検討することである。 当初は、北海道千歳市に焦点を当てるつもりだったが、昨年、北海道における自衛隊と地域社会の関係を考察した研究が複数公表されたこともあり、研究計画の変更を行った。そして、警察予備隊、保安隊が発足し、自衛隊が創設、発展していった1950年代から60年代の自衛隊と地域社会の関係性について、北海道に限定せずに全国的な状況を把握することから始めることとした。 平成28年度は、自衛隊のOB組織の協力を得て、1950年代から60年代に自衛隊に勤務した自衛官OBにライフヒストリー調査への協力を依頼し、約40名から承諾を得た。そして約10名の元自衛官に対してライフヒストリー調査を実施した。調査を通じて、警察予備隊、保安隊、創設期の自衛隊に一般自衛官が入隊した動機や家庭背景などの一端を知ることができた。また一般自衛官の経験に則して、自衛隊と地域社会との関係の一端も知りえた。これまで、防衛省や自衛隊の幹部に対するオーラルヒストリー調査は実施されてきたが、一般自衛官に対するオーラルヒストリー調査はほとんどなされていない。そのため、警察予備隊、保安隊、創設期の自衛隊内部の事情に関する口述記録は史料的にも価値が高いといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、北海道千歳市にしぼって実地調査を行う予定だったが、北海道に限定せずに全国の状況を把握するように研究計画を変更した。そのため、当初の予定よりも進捗状況が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に自衛隊OB組織の全国事務局の協力を得て約40名の自衛官OBからライフヒストリー調査に対する協力の承諾を得た。昨年度はそのうち10名に対して聞き取りを行ったが、29年度は引き続き聞き取り調査を進める予定である。8月までに聞き取り調査を終了させ、9月以降は、集めた口述記録や文書資料を検討し、論文などの形で検討結果を公表したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画を変更し、調査がやや遅れているため、今年度使用する予定だった旅費などを使用しなかった。だが次年度の聞き取り調査のための下準備を行った。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、聞き取り調査のために20道府県を訪問する予定のため、国内旅費に多くの出費を要する。28年度に使用しなかった金額を旅費に充てることを計画している。
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