• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

検索行動と在日韓国・朝鮮人に関する誤った信念の修正・強化についての実験研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K13082
研究機関神戸大学

研究代表者

小林 哲郎  神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 研究員 (60455194)

研究分担者 高 史明  神奈川大学, 人間科学部, その他 (90594276)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード検索 / 動機づけられた推論 / 選択的接触 / 潜在的態度
研究実績の概要

平成27年10月から11月にかけて、当初予定通りオンライン検索実験を行った。事前調査の結果から在日韓国・朝鮮人に関するデマ命題として「すべての生活保護受給者のうち、20パーセント以上が在日韓国・朝鮮人である」というものを選定した。この命題に関する正解は厚生労働省の統計情報を元に計算すると最大でも3%であるため、明らかに誤った命題である。コントロール条件に用いるプラセボ命題としては「平成24年に国内のインターネットショッピングを行った人のうち、10パーセント以下がトラブルに遭遇した経験をもっている」というものを用いた。
オンライン調査会社のモニタからスクリーニング調査によって選ばれた実験参加者を対象に、事前調査としてメディア利用や政治的態度などを測定した。その後、実験参加者は処置群と統制群に無作為配置された。処置群の参加者に対しては前述のデマ命題が提示され、統制群に対してはプラセボ命題が提示された。そして、5分以上10分未満の時間でそれらの命題の真偽をインターネットの検索エンジンを用いて検証することが求められた。検索課題が終了した後、各命題の主観的真偽を測定し、さらにその真偽判断をする際に最も参考になったウェブサイトのURLを回答するよう求めた。次に、実験の従属変数として在日韓国・朝鮮人に対する顕在的態度やレイシズム、主観的メディアリテラシーを測定し、最後にIATによって在日韓国・朝鮮人に対する潜在的態度を測定した。
分析の結果、検索行動によってデマ命題を正しいと考える人の割合は有意に低下することが確認された。すなわち、動機づけられた推論や選択的接触から導かれる仮説とは逆に、検索エンジンの利用は誤認知を修正する効果を持つ。一方、検索行動は韓国人に対する感情温度を低下させる効果が見られた。ただし、日本人を含む他国民に対する感情温度も低下傾向にあるためさらに分析が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成27年度の研究計画をほぼ完全な形で実施できたため。

今後の研究の推進方策

まず、平成27年度の実験でされた、真偽判断で参考になったウェブサイトのクロールが完了しているため、これらの内容分析を進める。内容分析のコーディングの結果と実験データをマージすることで、データの解釈がより明確になることが期待される。
さらに、研究計画通り、平成28年度は27年度の実験の追試および発展的拡張を行う。動機の違いによって情報検索行動の効果が異なるとの仮説の下、検索行動を行う前に処置群をさらに3群に無作為配置し、動機操作無し群、目標志向動機群、正確性動機群を設定する。動機操作無し群は平成27年度の処置群と同一の手続きとなる。目標志向動機群は、「命題について強い意見を持つことが重要であり、事前信念の理由を後で述べてもらう」と教示される。これによって事前信念に沿って動機づけられた推論が生じることが予想される。一方、正確性動機群は、「さまざまな視点が重要であり、事後信念の理由を後で述べてもらう」と教示される。可能であれば、客観的に正しい回答をした場合には謝礼が増額されるというインセンティブも用いる。これによって、できるだけ客観的に命題の真偽を判断しようとする動機が高まることが予想される。このデザインによって統制群も含めて4群が作成される。分析は平成27年度と同様に事後信念および事前信念から事後信念の変化を従属変数として処置(検索行動および動機)の効果を推定する。

次年度使用額が生じた理由

クロールしたウェブサイトの内容分析がすべて完了せず、一部次年度に持ち越された。そのため、内容分析を行うコーダーに支払う謝金に一部次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

クロールしたウェブサイトの内容分析は継続して実施している。次年度使用額は内容分析が終了次第、謝金としてコーダーに支払われる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] 人は検索によって正しい情報にたどり着けるのか:在日コリアンに関する誤情報を用いた実験2016

    • 著者名/発表者名
      小林哲郎・高史明・鈴木貴久
    • 学会等名
      第57回 日本社会心理学会大会
    • 発表場所
      関西学院大学(兵庫県・西宮市)
    • 年月日
      2016-09-17 – 2016-09-18
  • [学会発表] Can "googling" correct misbelief?2016

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi, T., Taka, F., Suzuki, T.
    • 学会等名
      31st International Congress of Psychology
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県・横浜市)
    • 年月日
      2016-07-24 – 2016-07-29
    • 国際学会
  • [学会発表] Social media and racism against Zainichi-Koreans in Japan: Differential effects of global and local services2015

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi, T.
    • 学会等名
      Asia Pacific Internet Research Alliance
    • 発表場所
      台北(台湾)
    • 年月日
      2015-09-17 – 2015-09-18
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi