研究課題/領域番号 |
15K13088
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
長谷川 真司 山口県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (50438868)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 社会福祉史 / 民間助成財団 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、戦前の社会事業において施設や団体の運営を資金的に支えた民間助成財団のなかで資産額や助成額の規模が一番大きかった原田積善会が保管する史料の整理を行い、目録作成のためデータ入力を行った。本研究は、戦前社会事業を支えた民間助成財団の研究を推進することを阻害していた一次史料の不足を解消し、史料へのアクセスを良くすることで、今後原田積善会の研究だけでなく、関連した施設や団体の財政に係る研究に寄与することに意義がある。 また、原田積善会が所有する史料のなかで、創設者が亡くなってから記録を始めた寄付申込記入帳と寄付審査帳を記録の保存と分析を行うため、戦前期について電子データ化を行った。民間資金の動向を把握するためまず資金の出して側である民間助成財団が保有する史料のなかで、その助成の意義や役割について依頼の状況や審査の過程などから把握できる史料を分析可能な状態にすることができた。この事でまず資金の供給サイドである助成財団の助成の意義や役割について客観的な数値からだけでなく、助成決定の審査過程を踏まえ質的に比較検証することができるようになった。 そして、民間助成財団については、その財団からの助成実態に加えて、助成先の民間施設や組織の運営資金における意義も含め相対的に明らかにされる必要があるが史料不足の点などから研究が進んでいない。総体的に民間助成財団の研究を行う上で、原田積善会の所有する史料と助成先の施設や団体の保有する一次史料や二次史料から検証可能な施設や団体を探るための準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原田積善会の保有する主に財団の助成に関する史料の整理と目録作成については、順調に進んでおり、約8割の史料については目録作成のためのデータ入力を終えている。 また、助成の資金の出して側だけでなく受け手側も含めた総体的な助成の意義や民間助成財団の役割に関する研究では、原田積善会の史料から質的にも検証できるよう史料の電子データ化を行った。
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今後の研究の推進方策 |
原田積善会の史料の整理と目録作成については、残りの史料の整理を行い、目録の作成し財団の保有する史料がわかるようにし、史料にアクセスしやすくする。 また、寄付申込帳や寄付審査帳などから数値からだけでは見えてこない資金の出して側である民間助成財団の助成の意義や財団の役割などについて質的な検証を行う。 そして、民間助成財団からの助成が出し手側だけでなく、受け手側にとってどのような意義があるのかに関して総体的に検証できる論文や史料を保持する施設や団体を探り、史料収集を行う。その後分析にも取り組む予定であるが、課題として原田積善会が助成を行った施設や団体が分析可能な財務に関する史料を保持し、その史料にアクセスができるかどうかがある。可能なかぎり都心の大学等の図書館を利用したり、直接施設や団体に連絡するなどして分析可能な施設や団体の資料収集に努めるつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
春休みに後1回調査を行う予定で予算を確保していたが、実施出来なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の旅費等として使用する。
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