研究実績の概要 |
本研究では、戦前の社会事業において施設や団体の運営を資金的に支えた民間助成財団に関する研究を進める事を阻害していた史料へのアクセスを良くし、今後財団関係の研究を行いやすくするため、戦前期資産額も助成額も一番規模の大きかった原田積善会が保管する史料について整理を行い目録を作成することを一つの目的として取り組んだ。最終年度の研究成果としては、原田積善会が書庫に所有する財団関係の約2,000の史料に関して整理分類し目録を作成した。作成した目録については財団にて閲覧出来るようにしており、今後民間助成財団の研究を行う際財団が保有する史料へのアクセスを容易にしたことでは意義のある研究であった。 また、民間助成財団については、その財団の助成実態についても史料不足から研究が進んでいないが、民間助成財団の意義と役割を考える場合助成の出し手側の民間助成財団の実態を明らかにすることとあわせて、受け手側の施設や団体にとって助成がどのような意義があったか明らかにすることが求められる。そこで、総体的に研究を行うためまず原田積善会の所有する史料のなかから助成の出し手側の助成財団から助成の意義や役割について把握出来る史料を探った。そして、助成の受け手側である施設や団体のうちそれらの団体が保有する一次史料や二次史料から受け手側にとっての助成の意義を助成財団側からも検証できる施設や団体をあわせて探った。 原田積善会については、寄付申込記入帳と寄付審査録から助成決定の審査過程などについて検証可能であることがわかり、電子データ化を図り今後の研究に活かすことが出来るようにした。また、原田積善会の寄附申込帳と寄付審査録にある助成先の施設や団体を中心に総体的に検証可能な団体について検討するため、二次史料として年史をまとめている団体を候補として整理し今後の検証が出来るようにした。
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