①平成29年10月13日から19日にかけて米国カリフォルニア州サンフランシスコ市の近郊に位置するサンラファエロ市の盲導犬協会(Guide Dog for the Blind)を北海道盲導犬協会の盲導犬訓練士・歩行指導員と同行訪問し、盲導犬の訓練・養成過程を見学し、盲導犬とそのユーザーを迷惑・危険行為から守るための方策について聞き取りを行った。アメリカと日本とでは、概ね迷惑・危険行為の内容が異なるものの、アメリカは日本と比較して、路上歩行中の迷惑・危険行為は少ないものの、歩行中の自動車事故等のリスクは等しくあることが理解できた。自動車事故から身を守るためには、歩行訓練が重要であるとともに、ユーザーと盲導犬双方の安全を確保するうえで、ユーザーが盲導犬に対して適切な指示ができるように訓練することが重要であることが理解できた。また、アメリカではパピーの時期から、養育ボランティアによって社会化訓練が実施されている点で、日本の現状とは異なることが明らかとなった。②平成30年2月13日に、横浜市にある日本補助犬協会を訪問し、盲導犬はじめ聴導犬や介助犬に関連して、迷惑・危険行為から守るための方策について聞き取り調査を実施した。その直前には、日本補助犬協会が定期的に実施している千葉県市原市にある少年院施設(市原学園)での補助犬に関する啓発活動を見学した。盲導犬に関する危険・迷惑行為として、ユーザーによる盲導犬に対する不適切な関わり(虐待が疑われるケース等)を、盲導犬訓練の過程でいかに防止するかが重要であることが理解できた。③3月6日には伊藤信賢弁護士(北海道盲導犬協会会長)に会い、司法の観点から盲導犬とユーザーを迷惑・危険行為から守るための方策について聞き取り調査を実施した。盲導犬の法的な位置づけが「物」であるがゆえに、盲導犬の保護について法的保証の限界があることを知りえた。
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