研究課題/領域番号 |
15K13093
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研究機関 | 八戸工業大学 |
研究代表者 |
安部 信行 八戸工業大学, 感性デザイン学部, 准教授 (30433478)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 視覚障害者 / 歩行訓練 / 環境バリアフリー / 聴覚錯誤 |
研究実績の概要 |
当該度は、研究計画にある社会適応訓練(歩行訓練)の現状整理と課題の抽出及び聴覚及び嗅覚による歩行訓練手法構築のための実験・検討を重点に研究を行った。 現状整理と課題の抽出において、眼科医に対するヒアリング調査を行ったところ、現在、中途失明者は視覚障害者の90%以上を占めており、中途失明者へのケアが必要であることが分かった。視覚障害がはじめに診断される場が眼科なので、眼科医を通して歩行訓練のリハビリ機関に紹介等をしてもらう必要があり、それに関しては地域の盲学校等がその役割を果たしていくことが考えられる。その後、歩行訓練士の指導のもと、歩行訓練のプログラムを受けていくというプロセスである。しかし、歩行訓練士は例えば青森県には数名しか在しておらず、殆どが盲学校の教員を兼ねていることから、十分なサポートをしていくことが難しいのが現状である。 聴覚及び嗅覚による歩行訓練手法構築のための実験・検討については、視覚障害者を被験者とした方向定位に関する実験室での実験を行った。4名の視覚障害者を対象として、無響室にて特定の周波数を聴取した場合に方向定位に錯誤がみられ、歩行中に事故に遭う可能性などが明らかとなった。 また、嗅覚による実験・検討については、晴眼者を中心とした匂いを検知する歩行実験を行った。匂いに関して、2種類匂いについて、廊下などの空間を想定した模擬の歩行空間を設定し、20名の被験者を対象として歩行実験を行った。その結果、被験者の半数以上が匂いを感じ取ることができた。これで歩行訓練に匂いを使用した匂いサイン等の実現の可能性があることが分かった。 さらに、五感による総合的歩行訓練手法の構築については、先端技術を利用した歩行訓練について模索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画にある項目はほぼ順調に進んでおり、研究発表や論文執筆までの準備も整っている。 しかしながら、海外への実態調査が進まなかったので、今後実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、五感による総合的歩行訓練手法の構築に向けて体系的に研究を進める。 特に聴覚・嗅覚による歩行訓練手法の構築に向けて実験・検討を行う。海外における歩行訓練の現状調査については今後計画して進めることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に使用額が生じた理由は、計画書にある海外の視覚障害者社会適応訓練(特に歩行訓練)の実態調査が計画通りに進まなかったことが大きな要因である。
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次年度使用額の使用計画 |
計画書にある、デンマーク国立の視覚障害者リハビリテーションセンターにて社会適応訓練の実態について調査を予定している。
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