研究課題/領域番号 |
15K13093
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研究機関 | 八戸工業大学 |
研究代表者 |
安部 信行 八戸工業大学, 感性デザイン学部, 准教授 (30433478)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 視覚障害者 / 歩行訓練 / 環境バリアフリー / 聴覚錯誤 / 嗅覚閾値 |
研究実績の概要 |
当該年度は、主に聴覚と嗅覚に関する研究を行い、研究発表も活発に実施することができた。これまで実施してきた聴覚に関する歩行訓練の可能性として、その基礎的研究内容である聴覚錯誤のメカニズムについて「方向定位への反射壁面の影響に関する基礎的検討」に関して、日本建築学会大会にて発表を行った。会場では、同じ専門分野の研究者と活発な議論を行うことができた。その結果、今後も視覚障害者と聴覚錯誤に関しては研究を継続していく必要性があることを確認した。
また、嗅覚を利用した歩行訓練に関しては、視覚障害者の歩行訓練の能率性の向上を目的として、嗅覚を利用した歩行実験を実施し、歩行中にどの程度匂いを感知または判別できるか基礎的かつ応用にも繋がる実験検討を行った。実験では、擬似的な通路において、壁に匂いを設置して歩行実験を行った。実験の結果、殆どの被験者が匂いの直近でかぎ分けることができていた。様々な課題はあるものの、匂いの判別もできていたことから、嗅覚も歩行訓練に利用できる可能性があることが分かった。その研究結果に関して、人間の嗅覚やにおい等を専門とした研究者が集まり議論を行っている、人間-生活環境系学会にて本研究の基本的な概要について発表した。発表題目は「匂いによる空間及びサイン等の認知に関する基礎的検討について」である。発表した結果、嗅覚を専門としている研究者より、嗅覚の閾値に関する議論を交わし、それを受けて、視覚障害者と健常者の嗅覚の閾値の違いに関する調査をする必要があることが明らかとなった。
このため、海外の社会適応訓練の実態調査を予定していたが、その計画分について、嗅覚に関する実験・検討を割り当てることとし、補助事業期間の延長を申請し、許可を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画通りに研究活動を進めてきたが、嗅覚に関する歩行訓練の内容に関して、別の視点として、視覚障害者と健常者の嗅覚の閾値に関する比較検討を行わなければならないことが分かったため、海外への実態調査を変更して実験・検討を進めることとし、研究の延長申請を行った。そのため、研究の進捗状況は「やや遅れている」としている。
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今後の研究の推進方策 |
前述にもある通り、研究の延長申請を行い、許可を得たことから、今後は視覚障害者と健常者の嗅覚閾値に関する研究を中心に取り組み、歩行訓練との関連性について検討を行う予定である。
それらも踏まえた上で、五感による視覚障害者の歩行訓練の手法を取り纏めることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、海外の社会適応訓練の実態調査を予定していたが、視覚障害者と健常者の嗅覚の閾値の差異について調査する必要性が出てきたことから、海外の実態調査分について、嗅覚に関する実験・検討を割り当てることとした。
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