社会的養護の対象となっている障害のある子どもの施設ケアと、退所後のサポートのあり方を検討するため、昨年度に引き続き、社会的養護を経験した障害のある若者を支援する施設・職員(児童養護施設、障害福祉サービス事業所など)へのインタビュー調査を実施した。その結果、施設退所後からの移行にはいくつかのパターンが見いだせた。移行とアフターケアの状況から暫定的には次の4つに分けられる。①退所後の就職先が決まりスムーズな移行かつ適宜アフターケアがある、②退所後に障害者福祉につながり適宜アフターケアがある、③退所後に障害者福祉につながるがアフターケアなし、④退所後に行方不明 このことから、児童福祉と障害児者福祉の接続が重要であること、一般就労と福祉的就労のいずれであったとしても、障害児者福祉の枠組みのなかで支援が行われなければ、困難を抱えることになることが示唆された。社会的養護を経験した障害のある若者は、18歳以降もライフコースを通じた支援を行う必要があるが、そうした仕組みは不十分であるため、早期に就労による経済的自立が迫られている現状がある。高校卒業後の進路として、一般就労であれ福祉的就労であれ働かせるための支援には限界があり、若者らしい生活を必ずしも保障することにはつながっていないケースもみられた。こうした現状を乗り越えるものとして、学ぶための支援が考えられる。教育年限を延長した学びの場づくりの先進的な実践として、高等部卒業後の福祉型専攻科・大学がある。しかし、社会的養護を経験した障害のある若者の退所後の進路の選択肢にはなっていないのが現状であり、こうした資源も含めて退所後のサポートのあり方を検討する必要がある。
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