研究課題/領域番号 |
15K13101
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
山本 克彦 日本福祉大学, 福祉経営学部, 准教授 (60342143)
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研究分担者 |
原田 正樹 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40287793)
村上 徹也 日本福祉大学, 全学教育センター, 教授 (40614201)
野尻 紀恵 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (70530731)
新美 綾子 日本福祉大学, 看護学部, 准教授 (90735466)
横山 由香里 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (40632633)
佐藤 大介 日本福祉大学, 全学教育センター, 助教 (00756562)
上山崎 悦代 日本福祉大学, 福祉経営学部, 助教 (80711655)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地域福祉 / 災害ソーシャルワーク / 参集意識 / 知多半島 / 防災 / 減災 / 東日本大震災 / 福祉施設 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトでは、今後も起こり得る大規模自然災害に備え、被災地の経験知を相互交流によって学びあうという「相互交流型循環開発モデル」を用いて、「減災にむけた地域の福祉力」を創出するプログラムを開発する。南海トラフ巨大地震への関心と警告(被害予測)が高まり、災害時における要援護者対策などが本格的に始まっている。災害時の被害を想定し、そのことに対する「備え」を考える防災・減災プログラムは多数存在する。こうした“平常時から災害時への変化”に焦点化した学習に対し、ここでは過去の災害から人や地域が復旧・復興するプロセス、つまり“災害時から未来へのエンパワメント”に対する焦点化を試みる。本研究では過去の災害の経験知から地域の福祉力を抽出し、新たな防災・減災プログラムの開発研究に挑戦する。 本研究の学術的な特色及び予想される結果と意義としては、まず第1に、これまでの防災・減災プログラムが災害によって奪われた地域の力をどう補うかに着目したのに対し、本研究では災害から復旧・復興していくプロセスに着目し、そこに存在する地域の福祉力を被災した地域住民から聞き取ろうと試みた点である。第2に、それによって得た経験知、実践知をプログラムとして未災地(未だ被災していないが、来るべき災害に備えている地域)に還元し、さらに未災地での実践による成果を被災した地域に戻すという相互交流循環型の共同研究としている点である。第3に本研究は大学内だけで完結するのではなく、教員と学生、実践者、地域の関係者のネットワークをつくることで、より実効性の高いプログラム開発を試みようとしている点である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究プロジェクトでは、今後も起こり得る大規模自然災害に備え、被災地の経験知を相互交流によって学びあうという「相互交流型循環開発モデル」を用いて、「減災にむけた地域の福祉力」を創出するプログラムを開発することを目指している。そのため平成27 年度は、福祉施設職員のジレンマに着目し、量的調査として「福祉職の大地震発生時における参集に関する意識調査」を実施。調査対象施設は、愛知県知多半島(5市5町)に所在地がある高齢者福祉施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、養護老人ホーム、有料老 人ホーム)計71施設とし、協力の得られた35施設に勤務する職員406名に実施した。 さらに、質的調査として、東日本大震災被災地の専門職等に対し、インタビュー調査を実施。具体的には対象を、東日本大震災で被災した4施設を対象に、各施設3名(管理職クラスの方、ソーシャルワーカー、ケアワーカー)、合計12名に実施している。 特に「福祉職の大地震発生時における参集に関する意識調査」においては、参集意識を左右する要因として、家庭での役割、経験年数や年齢、役職や雇用形態に特徴があった。また施設の備えに関しては、「福祉避難所としての受け入れ訓練」や「大災害を想定した職員の参集訓練」について、「行っていない」と認識している職員が約半数あり、参集意識の低さが目立った。 さらに質的調査については、各対象者のデータをTEM分析を用いて整理。その結果をインタビュー調査対象者と面会しながら、検証を進めている。しかしながらこの検証作業について遅れがあり、期間延長承認申請により現在も継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
質的調査として、東日本大震災被災地の専門職等に対し、実施したインタビュー調査について、TEM分析後の検証作業を宮城県の調査先(福祉施設)にて実施する(岩手県の福祉施設は作業済)。またそれらも踏まえ、これまでの量的調査、質的調査を総合し、論文等のまとめを行う。さらに防災・減災プログラムの開発研究に関しても、昨年度試行したものを含め、継続して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究においては平成27年度に福祉施設を対象に量的調査を実施。さらに東日本大震災の被災体験がある専門職(宮城県、岩手県)にインタビューによる質的調査を実施してきた。平成28年度は、この分析結果の検証作業のため、調査先へ再訪する予定であった。しかし研究チームと調査先との日程調整が年度内では困難な状況となっている。分析のプロセスにおいて、この検証作業は必須であるため、期間延長をお願いした。 以上の理由により、次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
宮城県への検証作業の旅費および学会発表の旅費にあてる。
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