2年目の研究活動は、研究の成果発表と最終年度に向けての研究協力者等との協議が中心である。2016年5月に代表者・高橋は精神保健領域で近年注目されている「オープンダイアローグ」に関するシンポジウムにコメンテーターとして参画し、ネウボラでの専門職と利用者との対話の連続性について報告し、単行本の制作にも協力した(9月刊行)。高橋は7月にソウル・梨花女子大学校でのEASP(East Asian Social Policy research network)国際会議において研究発表を行った(発表題目は「Politics of gender and child care: Japanese family as policy agenda」。連携研究者Mika Mervioは8月にストックホルム大学でのNAJAKS(Nordic Association of Japan and Korean Studies)に参加し研究協議を行い、さらにフィンランドでは現地インタビュー調査(特に父親とネウボラの関係)によって研究データを収集した。9月には国内の研究協力者たちとの協議を重ね、10月上旬に武蔵大学で開催されたシンポジウムでタンペレ大学のEija1 Paavilainen教授の講演を聴講した。10月下旬から11月初旬にかけて、高橋がフィンランドに渡航し、タンペレ大学でEija Paavilainen教授らとの研究協議を深め、来年度以降の共同研究の可能性について意見交換を行うとともに、ヘルシンキで2日間にわたり開催されるネウボラ専門職年次会合に参加し、ネウボラに関する最新の課題(医療行政改革の動向とネウボラの位置付け、移民家族への支援など)について情報を収集できた。この渡航期間中には、フィンランド保健福祉研究所THLのTuovi Hakulinen博士とも今後の研究協力を確認した。本研究の成果の社会還元として、代表者は、専門誌への寄稿(『児童心理』12月臨時増刊など)のみならず、国内各地で専門職研修等(保健・医療・福祉分野)に協力し、ネウボラと日本への示唆について講演した。
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