研究課題/領域番号 |
15K13109
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研究機関 | 広島商船高等専門学校 |
研究代表者 |
梶原 和範 広島商船高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (10300617)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地域福祉 / 振動検出 |
研究実績の概要 |
本研究は、居宅介護を受ける高齢者並びに要介護支援前の高齢者の見守り体制を補強するために、検知システムに生活動態に基づく情報源を追加して、24時間体制の検知しシステムとして組み込み、徘徊の防止や緊急通報が可能なデータの収集及び異常検出方法を見出すことを目的としている。 平成27年度の計画として、マイクロホンを用いた検出装置の製作と校正を行うこととした。マイクロホンはエレクトレット型を用いれば低消費電力で小型の装置とすることができる。一方で、音を検出するとしても、可聴周波数帯域で処理するか、センサで検出できる音圧変化を生じる振動も検出範囲とするかが、回路製作及び制御装置の全体構成を左右する。 試作した回路は一定ゲインの増幅器を用い、被験者としては20歳前後の健康な学生が転倒の様子を模擬した形で測定した。テストケースにおいて、可聴音が発生する場合と振動と呼ぶにふさわしい場合とがあり、単一のマイクロホンでの計測および判定は異常検知の不確定さを悪化することが予測された。そのため、可聴音および振動の検出には複数のセンサを設けて、制御回路により並行して検出する工夫が求めらることが分かった。加えて、センサの感度および増幅度に関連して、検出可能なダイナミックレンジを拡大するために複数個のセンサを搭載する必要性が生じてきた。これは出来るだけ簡単な構成で長期的に運用可能な検出装置として求められる要件を崩してしまうが、異常検知の不確かさを低減する方向で研究を遂行すべきであることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では、可聴周波数帯域を検知するセンサのみで見守りシステムへの組み込みを計画していたが、センサの種類と個数を絞り込むことが却って転倒や生活動態の検知には判別の不確定さを増大させることが分かってきた。テストケースを実施する被験者は健康な若年者であり、転倒しても音が小さすぎて検出の閾値の設定ができなかったり、逆に、体の部位の床などへの当たり方により過大なセンサへの入力となり、適度な増幅度を持つセンサの調整に多くの段階が必要であることがわかった。 以上のような状況のため、複数の種類のセンサモジュールからのデータを並列して記録・処理する構成にする共に、可変増幅度の検出回路または複数感度のセンサを装備することを検討する必要が出てきた。
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今後の研究の推進方策 |
可聴音および振動の検出のために複数種のセンサを設けて、制御回路により並行して検出する工夫を行う。したがって、マイコンを用いて逐次処理をかけながら、転倒および動態検出の手法を再構築することにする。 まず、可聴周波数帯域の音については、可変増幅度の検出回路ないし多段増幅回路の出力を選択的に信号処理することを試行する。加えて、センサの種類についても、大気の音圧測定によるものだけでなく、住宅などの構成部材である床や柱に直接接着した状態で振動を検知できるセンサを導入して、複合的な検知を行うセンサシステムへの変更を行う。マイコンの処理能力と転倒を検知すべき周期とが合致しない場合には、マイコンよりも処理能力の高い小型のワンボード・コンピュータを使用することを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
進捗状況で示した通り、立案時に使用を予定した回路構成及びシステム構成では目的達成の実現性が低くなることが予測されたため、他の種類のセンサを検討する必要性が生じたことに加え、検出用の電子回路の使用法も再検討を行う必要性が生じてきた。これらに対する対応策を検討するための時間を要したため、必要となるセンサ等の物品を次年度に購入することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
多種類の音波および振動センサ、小型ワンボードコンピュータの調達および試験に使用する予定である。
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