研究課題
本研究の基本的アイデアは、人々が社会事象や対人関係についての社会的認知の内容を捉えるうえで、調査協力者にも比較的容易な空間表現による社会的認知の開発を行うことであり、また推理解析の方法論も同時に行うというものである、本研究では、一般成人50名と精神疾患患者50名程度を対象にして、描画法でのデータを収取した。描画は、スキャナーを用いて計算機画像として取り込み、画像をいくつかに分割して、画像情報に特異値分解などの統計解析を実施する方法を開発した。特異値分析では,描画の集合を画像の各ピクセルの濃度値(0:白から255:黒)を要素とする行列と見なして特異値分解の手法を適用することを試みる。行が「画像データにおけるピクセルの位置(以下描画座標と記述する)」に対応し、列が「対象者の描いた描画」に対応する行列を作成し、特異値分解を行う。本分析において、分解された左特異行列Uは描画座標のインデックスをもつ。また、各地での面接調査を行い、描画や空間表現を空間統計の手法でも解析した。描画は紙による表現のほかタブレットなどの計算機端末を用いてできるようにした。なお、臨床心理士でもある研究分担者の岩満は、主に精神障害患者を中心に、研究代表者の竹村は主に一般成人を対象にとりまとめている。研究協力者として敦賀病院轟慶子、小平明子、東京大学医学部玉利祐樹、早稲田大学大学院竹内潤子、舘松詩織がおり、病院や公共施設でのデータ収集、および解を行った。本研究の結果は関連学会でも発表された。
2: おおむね順調に進展している
一般成人、精神疾患患者のデータについてはおおむね順調に収集を進めているが、やや時間がかかっている。分析法の開発についておおむね順調に進展している。
今後は、データを引き続き収集するとともに、空間的表現の方法をさらに開発して、調査等を行う予定である。まずは各地でのヒアリングや面接調査をもとに、具体的な問題の設定と、解析法の展開をはかる。また、この研究の成果は、本年度の国際心理学会ICP2016でも発表する予定である。
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Palliative and Supportive Care
巻: 13 ページ: 327-334,
ournal of Radiation Research
巻: in press ページ: in press