災害のリスク管理の研究領域では、近年、人々のリスク認知と実際の準備行動とが結びついていないこと -リスク認知パラドクス- が問題となっている。もし、リスク認知パラドクスが本当ならば、人びとにリスクの高さが伝えられ、理解されても対処行動にはつながらないことになる。このため、リスク認知パラドクスは問題となる。 本研究では調査データをリスク認知から準備行動への正のパスと逆方向への負のパスとを組み込んだ構造方程式で分析した。その結果、両者が相殺し合って表面的にパラドクスであるかのようにみえることが示された。また、小さな災害準備の提供が第一歩となって人びとの準備行動を促進させる可能性が示唆された。
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