研究課題/領域番号 |
15K13124
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
倉元 直樹 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (60236172)
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研究分担者 |
山田 剛史 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (10334252)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高大接続改革 / 項目反応理論 / 理系記述式問題 / 共通試験 / 大学入学者選抜 / 局所独立 / 高大接続答申 / 共通テスト |
研究実績の概要 |
高大接続改革の流れの中で、これまでわが国では専門家以外の話題になることがなかった教育測定論的な用語が一般に知られるようになってきた。特に,平成26年末に出された中央教育審議会「高大接続答申」で大学入試センター試験に代わる新テスト構想との絡みで,項目反応理論(以下,「IRT」と略記する)の大学入試における活用がにわかに注目を浴びることとなった。 IRTを用いたテストを成立させるには,厳しい条件をクリアしなければならない。そのため,我が国の大学入試において実質的に活用することは困難だが,その認識はこれまで薄かった。そこで,本研究では,記述式問題も含めた大学入学者選抜の共通試験にIRTを活用する可能性について,検討を行うこととした。 初年度には研究分担者の山田がIRTに関する先進的研究の調査を目的として,米国で開催された学会に参加し,資料収集を行った。最終年度に当たる本年度には,8月から本格的に長期間渡米して調査研究を行うための準備にあてた。 研究代表者の倉元は,研究協力者とともに理系記述式問題(倉元・森田,2004)のデータを用いてIRTの適用可能性を探るべく、初年度の成果に基づいて研究を継続し,その成果について日本テスト学会第14回大会で発表した。まず,高大接続答申を受けた高大接続システム改革会議における議論を精査し,改革の焦点がIRT適用から記述式問題の共通試験における実施にシフトしている現状を確認した。当面,記述式問題へのIRT適用が課題になることはないということを確認したうえで,理系記述式問題の構造を解析し,局所独立の条件を満たすことと多数の尺度化された項目の確保が困難なことから,実用には程遠い状況であることを示した。 さらに,同学会で行われた高大接続改革に関わるシンポジウムの報告をまとめて日本テスト学会誌第12巻に寄稿し,論説論文として掲載された。
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