本研究はグローバリゼーション時代における新しい心理学史の叙述と題して、地球規模で展開しつつある心理学という学問的営為の歴史を叙述することが目的である。アジア圏の心理学史、ヨーロッパの心理学史(ドイツ・イギリス以外)を検討することによって、従来の紋切り型的な時代区分を見直した上で、1879年を中心にした時代区分について、手応えを得た。第二次世界大戦後に心理学が普及した国々においては、教育心理学や臨床心理学など応用的な心理学から発展した国も多く、また、UNESCOなどの国際機関が心理学の普及に協力していたことが分かった。戦前から心理学が発展したアジアの国である日本の心理学史の知見も役に立つ。
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