研究実績の概要 |
目的:本研究は、抑うつ傾向に対して効果の考えられる(脳波)neurofeedback(以下NF)法の中で、特に前頭部脳波非対称性(左前頭部賦活>右前頭部賦活を訓練)のNF訓練を長期間(20日間)実施し、その効果と脳波反応へのself-control学習プロセスを検討することを目的とする。 方法:健常大学生102名にBDI-2(抑うつ傾向測定)を実施し実験参加に同意の得られた者の上位から統制群(BDI-2平均23.1,SD=6.6)8名とNF実験群(同23.5,SD=5.1)8名にランダム配置した。なお投薬治療中の者を除き全員女性で右利きである。BDI-2得点に両群差はない。統制群は実験群にほぼ時期をあわせて心理指標(抑うつ傾向、特性不安、楽観性・悲観性傾向、TAT図版に対する投影感情)を測定。実験群は毎回25分間のNF訓練と前後に安静期およびNFなしのテスト期を設定。また実験群は更に集中学習法(発見学習に有利)10日間、続く分散学習法(学習成果の固定に有利)10日間を行う集中-分散群4名と、分散(10日)-集中(5日)-分散学習(5日)を行う分散-集中-分散群4名(1名が未終了、継続中)に分けて訓練実施。訓練開始15回の比較で集中-分散法と分散-集中法の比較を意図し最後の分散法は臨床的配慮(訓練効果の固定)にて両群に配置。 結果と考察:訓練未終了の被験者がいるため途中経過報告とする。統制群と実験群の心理指標の比較で、実験群訓練が平均15.8回の段階で比較したところ実験群でのみ抑うつ傾向得点が有意に低下。学習法については集中-分散群の有利を予測したがそうとは言えない。また被験者が発見したストラテジーはポジティブ感情系のものと単純作業従事イメージ没入タイプが挙がった。更に効果を上げるためには今回収集した内省報告をもとに修得方法を検討することと訓練の時間配分の検討が今後必要である。
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