本研究では、認知症と告知を受けた後の本人や家族への心理的アプローチについて検討することを目的とした。まず、地域に在住する高齢者やその家族が認知症の告知についてどのように考えているのかを知るために質問紙調査を実施した。この結果、高齢者の場合、告知を希望する人(82.7%)は多かったが、高齢者とその家族の告知に対する意識には違いがあることが認められた。次に、認知症の告知後の心理的なプロセスについて、告知を受けた本人と家族に面接調査を行った。この結果、告知後すぐに、家族は介護者になるという自覚をもちにくく、介護者として自分やその役割を意識できていないことが明らかになった。
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