研究課題
ヒトの視覚認知機能には個人間で大きな多様性がある。多様性を理解するためには、ヒトを等質なものとし多様性を誤差と見なすのではなく、差異に着目し、多様性の原因を同定する必要がある。そのため本研究では、視覚認知機能の研究に認知神経遺伝学(cognitive neurogenetics)の手法と視覚障害者を対象とした心理学実験の手法を導入し、遺伝子多型、脳機能、行動指標の多様性とその間の関連解析を行うことにより、行動面に表出した多様性をもたらすメカニズムを、遺伝子、脳神経レベル、視覚障害という多層的な要因に注目して解明した。また研究の初期段階では、認知神経遺伝学と文化間比較を融合し、視知覚の多様性の遺伝的、社会文化的基盤の解明を指向していたが、海外出張の時間が取れず、文化間比較については多くの成果を上げることができなかった。一方、研究の初期段階では予定していなかった視覚障害の研究においては、神戸大学が保有するバーチャル・リアリティ・システムを駆使して実験を行い、弱視者が直立中ないし歩行中に足もとがどのていど見えるかを計測する方法を開発し、健常者の計測データと比較することにより、視覚機能の多様性についての研究を進めることができた。実験結果は電子情報通信学会の研究会で発表すると共に、英文の査読誌に発表した。また計測自動制御学会で招待講演を行うとともに、神戸市役所でも招待講演を行い、研究のアウトリーチ活動を進展させた。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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