研究課題/領域番号 |
15K13174
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小方 直幸 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20314776)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育政策 / アーカイブズ |
研究実績の概要 |
本研究は、現代日本の教育政策を分析するためのアーカイブズ学の創築を行うことを目的としている。いわゆるアカデミック・キャピタリズムが進行し、短期・即時的研究成果の要求の強化と、研究実施者が研究成果を提示し、成果も帰属するという原則が貫かれている現在、そのアンチテーゼともなる、新たな研究領域と研究者の役割を切り開くことを企図した試みである。具体的には、第1に、現代の教育政策を解明する上で必要十分な資料・データ・証言とは何かを検討・検証し、第2に、それに基づき、選択したイシュー・ベースの政策に関する資料群を発掘・収集・保存する作業を行い、第3に、保存した資料群を、後世の教育研究者に公共性・公開性の高い知のギフトとして提供する、という3つの課題を掲げている。 今年度は、第1の課題に着手するため、まずは、公文書保存の実態に関する国内外の基礎調査を行った。その際、資料の収集・保存状況だけでなく、資料の公開や利用に関するサービスや手続きの状況についても、併せて情報収集を行った。次に、連携研究者とも協力し、連携研究者の所属する3つの学会を対象として、教育政策資料の収集・保存に関する意向調査を実施した。未来の世代に向けたアーカイブズの構築を目指す本研究にとって、学会員が教育政策資料の収集・保存・利用をどのように考えているかも重要な取組であり、調査対象900に対しして330件の回答があり、回収率は37%だった。学会による若干の相違はあるものの、7割前後の会員が教育政策の形成過程に関心を持ち、6割前後の会員が、当該資料の収集システムが構築されれば、是非利用したいと考えていることが明らかとなった。また、過半数の会員が、行政文書以外の私的文書や音声記録、電子データの保存を希望していることもわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
公文書の政策形成資料の保存とサービス状況については、さらに調べる余地が残されており、次年度以降引き続き検討が必要である。また、関連の多くの資料が生成している文科省等の資料保存状況や資料提供可能性についても、さらに検討を進める必要がある。他方で、性格の異なる教育史学会、教育行政学会、高等教育学会の何れの学会員も、少なくとも調査に協力してくれた会員の間では、本研究が目指す教育政策資料のアーカイブズシステムの構築に対して、高い関心があるだけでなく、活用意欲も同時に強く持っていることを明らかにでき、本研究が目指す方向に対して、学会員からも一定の了解が得られることが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果を踏まえて、まずは、現在国立公文書館や国立国会図書館にいかなるタイプの資料がどういう状況で保存される仕組みになっているかを抑えた上で、そこから盛れている資料の収集のあり方を検討する、また、資料の保存先が複数にまたがっている場合、資料を一括して一箇所に保存できないかも検討する。その際、進捗状況に応じて資料提供先との資料収集をめぐる契約についても、必要応じて勘案し着手する。また、義務教育や高等教育段階の政策イシューについて、具体的にどのような質と量のアーカイブの作成を行うことが可能か、事例的な考察を行う。その際、今年度に実施した学会員への調査結果を踏まえ、会員からの関心が高い教育政策についても考慮する。
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