研究課題/領域番号 |
15K13174
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小方 直幸 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (20314776)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育政策 / アーカイブズ |
研究実績の概要 |
本研究は、現代日本の教育政策を分析するためのアーカイブズ学の創築を目指している。アカデミック・キャピタリズムが進行し、短期・即時的な研究成果の要求の強化と、研究実施者が研究成果を提示し、成果も帰属するという原則が貫かれている現在、そのアンチテーゼともなる、新たな研究領域と研究者の役割を切り開くことを企図した取組である。具体的には、第1に、現代の教育政策を解明する上で必要十分な資料・データ・証言とは何かを検討し、第2に、それに基づいて選択した政策に関する資料群を発掘・収集・保存する作業を行い、第3に、保存した資料群を、後世の研究者に知のギフトとして提供する、という課題を掲げている。 昨年度行った、公文書保存状況の調査と3学会を対象とした教育政策資料の収集・保存に・利用に関する意向調査を踏まえて、今年度は、引き続き公文書保存状況の調査を継続する一方、教科化が決まった道徳教育を事例に取り上げ、資料・情報の収集を行った。 公開資料群としては、「教育再生実行会議」「道徳教育の充実に関する懇談会」「道徳教育専門部会」「教科用図書検定調査審議会」「道徳教育に係る評価等の在り方に関する専門家会議」等を収集した上で、当面の未公開資料群として、当該委員会・部会の委員に対して、訪問調査を実施した。なお、当面の未公開資料群については、一定期間の保存を経た上で、調査協力者の合意の基、将来的な公開を目指す方向で調整している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究対象が現在進行形の政策であることから、研究申請の段階でも予想されたことであるが、想定した当該関係者から、資料・情報の提供が得られない事態が発生している。そのため、事例として着手した道徳教育の教科化に関して、資料・情報の収集が必要十分に進められていない。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度、道徳教育の教科化に関して、十分に資料・情報が得られなかった点について、対象者の選定やアプローチ方法の改善を探り、まずは後世に残せる資料・情報の収集の充実に努める。その進捗状況にも左右されるが、今年度は道徳教育の教科化とは異なる別の事例についても着手したいと考えている。
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