本研究では、「文書記録」と「口述記録」という2 つのリソースを教育分野の政策形成・政策評価に必要不可欠な「教育政策情報」と位置づけた上で、体系的整理とアーカイブ化を行い、実証的な教育政策研究の進展に資する基盤を整備していく作業を行った。 第1に、「文書記録」のアーカイブ化として、国立教育政策研究所所蔵の「戦後教育行政通知文書写綴」と「臨時教育審議会関係資料」の目録を作成した。その1に、「戦後教育行政通知文書写綴」は、文部省大臣官房総務課往復係記録班が昭和20年8 月から昭和25年9月における教育行政関連の文書をとりまとめた「通達綴・文書回報」であり、現在閲覧可能な資料の状況を踏まえて目録化の作業を行った。文部省を発着地・経由地とする戦後教育行政の行政実務の一端を示す当該史資料群は、戦後(教育)史像の相対化・刷新の可能性をも秘めたものである。その2に、昭和59年に公布された臨時教育審議会設置法(昭和59年8月8日法律第65号)に基づき総理府に設置された臨時教育審議会は、内閣総理大臣の諮問に応じて調査審議を行うことを所掌事務とした行政機関である。審議会の運営に際しては、総会のほか、「二十一世紀を展望した教育の在り方」(第一部会)、「社会の教育諸機能の活性化」(第二部会)、「初等中等教育の改革」(第三部会)、「高等教育の改革」(第四部会)を議論する部会が設けられ、委員に専門委員を加えた形で審議が行われた。当該目録は、元文部事務次官で、臨教審第一部会専門委員を務めていた木田宏氏が国立教育研究所に寄贈した資料を目録化したものである。 第2に、「口述記録」のアーカイブ化として、元文部(科学)省関係者に対する継続的なヒアリングを行い、オーラル・ヒストリーとして再構成した。今回掲載したのは、元文部科学事務次官の銭谷眞美氏のオーラル・ヒストリーである。
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