本研究では,戦前に南洋群島での生活経験を持ち,南洋の文化を芸術表現の糧として取り込んで,戦後の絵本制作に引き継いでいった儀間比呂志(1923-2017)に着目した。儀間の子どもの本の仕事を通して,南洋文化を背景とした戦後沖縄児童文学・文化の系譜について考察し、論文にまとめた。また赤松俊子(1912-2000)や土方久功(1900-1977)など,儀間と同様に南洋群島に向かったのちに子どもの本の仕事に取り組んでいった複数の芸術家にも言及し、儀間との比較研究を行うとともに,彼らの南洋群島での活動,戦中~戦後に発表された子どもの本の仕事を調査し,その成果の一部を所属学会にて発表した。
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