研究課題/領域番号 |
15K13195
|
研究機関 | 京都光華女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
成瀬 尚志 京都光華女子大学短期大学部, その他部局等, 講師 (60467644)
|
研究分担者 |
崎山 直樹 千葉大学, 国際教養学部, 講師 (10513088)
児島 功和 山梨学院大学, 経営情報学部, 特任准教授 (80574409)
笠木 雅史 名古屋大学, 教養教育院, 特任准教授 (60713576)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | レポート課題 / レポート論題 / 剽窃 / コピペ / ライティング / タキソノミー / ルーブリック |
研究実績の概要 |
レポート論題についての分析を重ねることで、剽窃が困難となる論題の特徴が明確となった。剽窃が困難となる論題とは「特異性を伴った論題」のことであり、その特異性は「形式の特異性」と「内容の特異性」に分けられることがわかった。また、レポート論題のスコープ(対象範囲)を考慮に入れることで、論題が対象としている範囲を「テーマに関する知識」、「情報収集」、「レポートリテラシー」、「推敲」、「メタ認知」の5つの知識の内容に分けられることがわかった。それにより、論題には認知的なレベル(理解する、応用する、分析する、評価する、創造する)と知識次元の二つの側面があることがわかった。それにより、アンダーソンらによる改訂版タキソノミーと融合できることがわかり、「レポート論題タキソノミー」を構築することが出来た。また、レポート課題について考える際に、論題だけでなく、授業設計や評価の問題も併せて検討することで多様な観点から剽窃問題について明らかにすることが出来た。これらの研究成果として、成瀬尚志編『学生を思考にいざなうレポート課題』(ひつじ書房)を12月に出版することが出来た。本書は、レポート課題について「レポート論題」、「授業設計」、「評価」の3つの観点から検討した大学教員向けのガイドブックであり、本研究の集大成でもある。本書の合評会を兼ねた公開研究会を12月に開催し、本書に対する様々なコメントをもらうことが出来た。また、これらの成果を各種学会やFD講演会で報告した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の目的である、剽窃が困難となる論題の本質を解明しただけでなく、論題を難易度ごとに分類した「レポート論題タキソノミー」を構築することが出来たため。また、本研究の成果として、レポート課題に関して「レポート論題」、「授業設計」、「評価」の3つの観点から分析した書籍を出版することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究によって剽窃が困難となる論題の本質について理論的に解明することが出来た。また、当初は各学問分野ごとで有効な論題とそれに対応するルーブリックの開発を検討していたが、それよりもさらに包括的なレポート論題タキソノミーを構築することができたため、今後はそのレポート論題タキソノミーの効果検証が必要である。そこで、最終年度ではこの理論的な分析がどれほど実践的に有効であるかを検証するために学生インタビューを実施する予定である。レポート論題タキソノミーは、学生目線でレポート課題をとらえたときに、どのような能力の育成が可能かをレベルごとに示したものである。よって、実際に、学生がレポート課題をどのようにとらえているのか、また、どのような点に問題を抱えているのかをインタビュー調査によって明らかにすることで、レポート論題タキソノミーの理論的前提を検証する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
日程調整の関係から、研究メンバーが予定していた研究打ち合わせや学会発表に参加できなかったことがあったため次年度使用額が発生した。
|
次年度使用額の使用計画 |
学生向けのインタビュー調査の実施経費として使用する。
|