本研究では、自伝や小説、師弟論などの資料を量的・質的な視点から分析し、各界における師弟関係を掘り起こし、独自のしくみや問題等について考察した。そのなかで、(1)1970年代までは界を問わず役割関係のなかに「師弟関係」が埋め込まれた関係性が存在していたこと(2)界によって、「師弟関係」のしくみや機能、また問題性のありかたも異なっていること (3)メディアを介した「師弟関係」が拡大しつつあること、などが明らかとなった。計測不可能な教育関係やしくみが、さまざまな形で近代的な組織の深層部分を支えてきたことを明らかにした点が重要な成果である。
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