本研究ではアフリカの初等学校における非正規課程の教育に焦点を当て、その実態と今後の展望を明らかにした。これまで、EFA (Education for All:万人のための教育) 達成に向け、「無償化政策」など就学を促進する政策が優先的に導入されてきたアフリカでは結果的に、教育の量的拡大が急速に起こり、教育の質が低下したとされている。このような状況を受けて、ミクロレベルでは「補講授業(エクストラスクール) の開講」や「民営学校への通学 (ダブルスクール) 」など、教員や保護者が様々な独自の反応を示していることが判明した。特に、本研究ではアフリカの中でも最貧国のマラウイを対象に、正規課程の授業外の教育実態について調査し、その実態を明らかにした。非正規課程の教育実態を把捉することで、教育の質が低下する全体構造を明らかにすることが可能となった。 非正規課程の教育と一言で言っても、その内実は多様であり、まずその区分作業から実施した。その上で公立学校の教員が如何に関わっているか現地調査の結果を基に明らかにした。教員が給与の高い無認可学校に異動するという「人材流失」だけでなく、有償の補講授業などに精を出し、正規課程の授業を疎かにするといった事例も確認された。また、2年目には、教員の異動、関わりだけでなく、保護者が如何に関わっているか、についても現地調査を基に、明らかにした。今回の現地調査では、教員、保護者の関わりから非正規課程の教育実態と正規課程の教育の質に影響を与える全体的な構造を明らかにすることを試みたが、今後は児童、生徒の観点からも調査を実施し、引き続き、当該研究を進展させる計画である。
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