研究課題/領域番号 |
15K13215
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
齋藤 雅子 大阪産業大学, 経営学部, 准教授 (00434788)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 会計教育 / 不正 / 国際会計 / グローバル |
研究実績の概要 |
研究2年度(平成28年度)の研究実績の公表については、昨年度実績で公表した査読付き国際ジャーナルにおいて刊行したグローバル企業複数のケーススタディを取り扱った研究論文を土台にして、国内学会機関誌『会計教育研究』において行動倫理学アプローチからみた倫理教育を検討した研究論文を投稿し、刊行を行っている。企業の会計不正抑止を念頭においた広い意味での人材育成において、会計教育に対する社会的ニーズを整理するとともに、倫理の信念と行動の関係性において教育環境を整えていく意義を述べている。行動倫理学的アプローチにより会計教育モデルを検討した結果、次の3点を示すことができる。 第一に、倫理に対する固有の信念がさまざまな環境変数に影響を受けることなく、倫理的行動を起こすための視点、すなわち行動倫理学の視点であるため、目先のある種容易な意思決定や流された行動ではなく、客観的に将来を見据えた行動の重要性を問う教育が求められるという点である。 第二に、組織や社会の中での行動を認識するための視点、すなわち組織行動学の視点である。組織の中の一員としての行動や社会における一構成員としての行動が、いかに組織や社会に影響を及ぼすのか、組織の中で自分がいかに社会的役割を果たしていくのかを常に考える大切さを伝えなければならない。 第三に、問題意識を意思決定行動へつなげていく視点、すなわち批判的思考の視点である。ある予測できない事象や現象が起きたとき、どうやって問題解決をはかっていくべきかを、自ら判断できる能力の形成が社会では求められる。直面する問題に潜む本質を理解し、重要度を斟酌し、そして最善の解決方法は何なのかを考える際、物事を批判的に捉える思考が社会との接点において有機的に機能する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に従い、昨年度行ったグローバル企業不正の事例研究における国別、地域別の整理や先行研究の考察を土台とした、大学生の倫理醸成プロセスと会計教育モデルの関連を理論的に考察した論文を学会機関誌で公表している。
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今後の研究の推進方策 |
グローバル経済において企業活動が発展すればするほど、さらなるグローバル会計不正の高度化や高学歴化に直面しており、会計不正抑止のための高等教育における会計教育モデルの構築は、複数の学際領域を融合させた倫理教育の実践や教材についての検討が必要である。本年度が研究最終年度であるため、ケーススタディ型教材案を作成し、実験的に導入しながら、最終的にグローバルで活用可能な教材開発につなげていきたい。そのためには、国内外の研究協力者による協力が欠かせないため、海外の研究協力者ならびに国内の研究協力者への協力を得て、効果的な教材開発を行っていきたいと考えている。
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