平成25年10月8日に発表されたOECDの国際成人力調査(PIAAC)において、日本の成人(16歳から65歳)の読解力の平均点が500点満点中296点で、OECD平均273点を大きく上回り1位となり、また、数的思考力も、OECD平均279点対し日本は288点で、2位フィンランドに6点差の1位であったことを受けて、本研究では次の問題意識を持って、13歳から15歳の中学生と高校生を対象にした調査を実施し、得られたデータから問題意識の検討を行った。 1.読解力と数的思考力ともに30歳頃をピークにそれまでは得点が上昇し、それ以降は下降するが、16歳以下の年代での実態はどうであるのか。2.13歳~15歳の生徒は、いわゆるPIAACの成人力をどの程度持ち合わせいるのか。さらに3.PIAACの問題は日本人にとって易しい取り組みやすい問題傾向があるのではないか。 調査データの分析結果から、13歳の中学生のほぼすべてがPIAACの習熟度レベル1の問題をクリアしており、15歳ではほぼ8割がレベル3をクリアしていることが分かった。つまり、年齢に従って習熟度は発達している。また、この数字はOECD加盟国の成人の平均に達していることを意味し、日本の成人の平均点が高かったのは、既に中学生段階でかなりの習熟度レベルに達していることによって裏打ちされていることになる。PIAACの問題が日本人に取って与しやすかったのかどうかについては、同様の調査問題を外国において実施し結果を比較することにより明らかにする予定であったが、期間内に海外の研究パートナーを確保できずに実現に至らなかった。
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