研究課題/領域番号 |
15K13219
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
有本 昌弘 東北大学, 教育学研究科, 教授 (80193093)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 気づき / アセスメント / 21世紀コンピテンシー |
研究実績の概要 |
OECDやメルボルン大学が提唱する21世紀型スキルに、日本文化の独自性をもつ「気づきシステム」を加え、日本型のものを提案するのが目的です。その為に、震災後の教育の期待のシナリオとして新設された高校の災害科学科で、21世紀型スキルの「ともに働く」を特化し、アセスメント手法で具現化します。国内でも、先行研究が少ない中、27年度、28年度には、学習と評価に関してワークショップを行うことができた。まずは、評価観を、探求を伴うアセスメントとして、すなわち、ルーブリックを用いるにしても、生徒に還元できるもの、教師からの一方向ではなく、双方向、何よりも、多面的な物差しで測れるリッチなパフォーマンス課題(タスク)によるモニタリングが重要との共通認識にたつことができた。そのため、確たる評価観をもって学習と指導に当たれるよう、教員の力を存分に発揮できるような仕掛けと仕組みを工夫するという前提に立つ必要があると考えられた。生徒の思考力に関して、多面的な把握の方法として、スプレー図、リッチピクチャ、因果関係図(CLD: Causal Loop Diagram) などをもとに、story telling を進めていけるようにする。しかも、ハザード、社会の背景、災害対応という分野ごとに、あるいは分野を超えて、どのように、関連知が見出されるか、生徒の推論を可能とするものへと仕上げ、その一部は、Stella等ソフトウェアに載せられるようにしていく。そして、メルボルン大学との学術交流協定をさらに推進し、国内の21世紀型能力の教育に役立て、この研究を海外の出版社から英文で出版する希望をもっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この学科には、震災以前に釜石市で防災教育を行っていた片田敏孝教授をはじめ多数のアドバイザーを迎えている。また、東北大学の災害科学国際研究所等と連携してシラバスを作成する全国でもユニークな学科である。5月と、12月にの2度にわたって、読み物をもとに、図(スプレー図、リッチピクチャ)で描かせたり、文章で書かせるパフォーマンス課題に取り組んだ。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、防災系専門科目である自然科学と災害A(科学基礎、生物基礎、保健)、自然科学と災害B(物理基礎、地学基礎、地理A)においてアセスメントについて合科的な切り口、新たな教科・科目の創出としての、社会と災害(地理A,現代社会、日本史B)、くらしと安全B、倫理と国際社会、科学英語、科学技術と災害、生命環境学、実用統計学、について、逆向き設計(Understanding by Design)による通教科的テンプレートによりみていきます。因果関連図に生徒教員ともに親しんでいただくべく、身近で平易な例示からスタートできるよう、工夫を行う。単元ごとに、ミニパフォーマンスタスクを進めていけるよう、協働型アクションリサーチを行う。
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