研究課題/領域番号 |
15K13226
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
兼重 直文 三重大学, 教育学部, 教授 (20115695)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ピアノ演奏基礎能力 / 動作追尾 / 打鍵強度 / 打鍵時間間隔 / 可視化 |
研究実績の概要 |
<研究の具体的内容>本実験の課題曲(ツェルニー30番練習曲集/No.1より第1小節~8小節の旋律部分)を用いての予備実験の後、第1回本実験に入った。先ず被験者6名に3年間の研究概要を説明、ピアノ学習歴等のアンケート調査、引き続き課題曲の演奏ビデオを撮影(右手と左手/撮影は正面・左・右の3方向)した。そしてこのビデオ映像から被験者の5指すべての関節および手首の動作分析を三次元化、および打鍵強度と打鍵時間間隔の音響測定分析をヒートマップに基づくグラフで可視化した。次にこれらの可視化されたデータから最も「音の不揃い・歪・ミスタッチ」が顕著に表れている部分を抽出して各被験者の検証個所を特定した。さらにこの抽出した部分に関わる指や関節の打鍵状態が、抽出部分以外との相関関係も重要であると考え、抽出部分に近似した個所をさらに特定し、対象となる指の関節、手首の動作分析を追加した。被験者には第1回本実験(平成27年度)と第2回本実験(平成28年度)のビデオ撮影の間に「演奏基礎能力」を養成する基礎練習を奨励する練習ビデオを作成、このビデオを参照して訓練を行うように指示した。 <研究の意義とその重要性>本研究はピアノ学習過程の初歩段階での「演奏基礎能力」獲得におけるピアノ学習者個々の技術的な奏法の課題を見出し、これを克服すための「演奏基礎能力」獲得に有効な練習方法の提案が目的である。平成27年度の第1回本実験での打鍵強度と打鍵時間間隔、および動作追尾分析による被験者データには指の関節や手首の不安定さが現われており、「演奏基礎能力」獲得のための基礎訓練が必要であることがわかった。更に実験を繰り返し、以後どのように改善されていくかというところが本研究の意義であり、「演奏基礎能力」獲得はピアノ学習初心者にとって重要な課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備実験での方法が本実験において支障なく遂行されたため。また、当初の計画では音響測定分析をヒートマップで表す予定であったが、公立はこだて未来大学の竹川佳成研究室の協力によって、ヒートマップをグラフ化することが可能となり、「音の不揃い・歪・ミスタッチ」が顕著に表れている部分を抽出しやすくなったこと。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画に変更点はないが、被験者の動作分析の際の計測点(関節)にマークをして正面・左・右の3方向からビデオ撮影を行ったが、指の動きのよって計測点に死角が生じる。動作分析の三次元化は少なくとの2方向からの撮影で可能になるものの、より正確なデータをとるためには、計測点(関節)のマークの方法とビデオ撮影の角度を改善する課題が生じた。
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