平成29年度は、前年度までに収集した北海道教育大学、上越教育大学、東京学芸大学、山梨大学、兵庫教育大学、宮城教育大学、群馬教育大学、山梨大学、山形大学、福井大学、早稲田大学、鳴門教育大学、宮崎教育大学に加えて、岩手大学、金沢大学、横浜国立大学の計16校の教職大学院の報告書を収集することができた。また、フィンランドのヘルシンキ大学、ユバスキュラ大学の教育学研究科の修士論文についてデータベースを作成した。 これまでに収集した報告書(16大学院1394編)とヘルシンキ大学の修士論文158編について,佐藤裕(1989)の「教科教育学の構想」をもとにしたカテゴリー分類とテキストマイニング法による構造分析を行った。 それらの結果から、教科を形成する認識様式にかかわらず「教授-学習論に関する報告書」が多いことが明らかとなった。さらに、「教科」を対象としない報告書については「社会要請」や「個別要請」のものが多くなっていた。また,どちらにおいても「最先端科学分野・総合人間科学」に該当する報告書はほとんど見当たらなかった。テキストマイニングの分析からは、4割近い報告書が「授業」や「教科」をキーワードとすることが認められた。この結果は前年度までの分析結果とほぼ同様な結果となった。また、それらの報告書は「学習」「指導」「実践」「活動」などのキーワードと結びつき、それぞれの教職大学院で特徴的な構造をしていることが明らかとなった。フィンランドの修士論文については現在も分析を継続している。
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