研究課題/領域番号 |
15K13231
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
三村 真弓 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00372764)
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研究分担者 |
吉富 巧修 広島大学, 教育学研究科(研究院), 名誉教授 (20083389)
伊藤 真 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (70455046)
北野 幸子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (90309667)
山中 文 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (10210494)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 幼小接続期カリキュラム / 教科の基盤となる資質・能力 |
研究実績の概要 |
本研究は、教科の基盤となる資質・能力とは何かを明らかにし、それらを幼小接続期教育において育成するためのカリキュラム及び指導法を構築することを目的としている。本年度は、まず各教科の基盤となる資質能力に関して、教科内容を中心に分析した。これに関しては、その妥当性を来年度以降検討する必要がある。 次に、幼小接続期カリキュラムの開発に取り組んでいる特定の幼稚園・小学校の教諭を対象として、次のような調査研究を行った。第1に、幼稚園教諭による小学校授業への参加、及び研究協議を通して、①ねらいに応じた教師のかかわり、②教師による子どもの見方・捉え方、③ねらいと、活動の展開や学習スタイルとの関連、等について、幼稚園・小学校の共通点・相違点を明らかにした。このことによって、幼小接続期の望ましい指導法に関して示唆を得ることができた。第2に、同幼稚園・小学校において、教諭同士による相互の保育・授業参観、及び小学校教諭の年長児クラスへの保育参加を行った。①教材の捉え方、②教材を活かす環境構成、③教材を通して設定するねらいと内容について、幼稚園教諭と小学校教諭による協議を行った結果、幼小接続期のカリキュラム開発には、ねらいや内容、活動や環境構成の背後にある教材観や幼児・児童観等に関して、相互に理解することが重要であることがわかった。 一方、幼小接続期カリキュラムで繋いでいく資質・能力は何かということに関して示唆を得るために、今年度は音楽科に焦点を当て、各国の音楽カリキュラムが、コンテンツベースであるのか、コンピテンシーベースであるかについて分析した。その結果、国によって相違があることがわかった。また、コンピテンシーも、教科の本質に関わるコンピテンシーと汎用的コンピテンシーの両者に分けられることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり、教科の基盤となる資質・能力の検討を行うことができ、また幼小接続期カリキュラム開発に取り組んでいる事例をもとに、カリキュラム作成の重要ポイントや指導のポイントに関して示唆を得ることができた。 また、カリキュラム・マネジメントの視点から各国の音楽カリキュラムを分析した結果、コンピテンシーには、教科の本質に関わるコンピテンシーと汎用的コンピテンシーの両方があり、幼小接続期カリキュラムの開発に関しては、両者の関連性を明らかにする必要があることがわかった。すなわち、汎用的資質・能力と教科の本質の基盤となる資質・能力の双方を視野にいれたカリキュラム開発が重要であることが明らかとなったことは、今後の研究の方向性を確立していくうえで、大きな成果であったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、教科の基盤となる資質・能力の妥当性について、さらに検討する必要がある。また、幼小接続期カリキュラムの開発に向けて、教科の基盤となる資質・能力の芽が幼稚園の活動のなかにどのように存在するのかを見つけ、それを意識化した活動計画を作成・実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、参加予定としていた学会に参加できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の学会発表の旅費の一部として使用する。
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