研究課題/領域番号 |
15K13235
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
城戸 茂 愛媛大学, 教職大学院, 教授 (00591091)
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研究分担者 |
藤平 敦 国立教育政策研究所, 生徒指導・進路指導研究センター, 総括研究官 (60462157)
中野 澄 国立教育政策研究所, 生徒指導・進路指導研究センター, 総括研究官 (70741940)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教科外教育 / 道徳教育 / 特別活動 |
研究実績の概要 |
本研究は、特別活動が道徳教育の目標である道徳性の育成に深く関わっていることを明らかに示すための社会性測定用尺度の開発を行うとともに、尺度の開発と関連付けながら、特別活動における道徳性育成のための効果的な指導モデルを開発することにある。 研究の初年度における主な研究実績は次の2点である。1点目は、文献調査を通して、社会性や豊かな人間性の育成を目指す特別活動が、道徳教育において極めて重要な役割を果たしていることを明確に示すことができたことである。ここでは、道徳性の育成のためには実践を通すことが不可欠であること、望ましい集団活動や話合い活動を通して相互の愛情に満ちた人間関係の育成を図り、集団への所属感・連帯感を育むことが重要であることが明らかとなった。 2点目は、社会性測定用尺度を開発するとともに、社会性の育成を図る上での特別活動における効果的な指導の方向性を明らかにすることができたことである。ここでは、先行研究を踏まえて社会性測定用尺度を開発し、優れた特別活動の実践家の学級での調査を通して尺度の有効性を確認するとともに、尺度を用いた調査結果の分析を通して、社会性育成のためには自己有用感や自己肯定感を高めていくことが必要であり、そのためには特別活動が重視する社会参画の資質や能力をはじめ、他者を受容したり他者と積極的に関わっていこうとしたりする態度を、日々の教育実践を通して育んでいくことが有効であることが明らかとなった。 今後の取組として、社会性測定用尺度を用いての調査研究における学校現場の先生方との意見交換を通して、研究者サイドから一方的にモデルを提示し、それに沿った実践をお願いするよりも、研究者サイドから提供する尺度を用いた調査の実施回数を増やし、調査結果を基に指導の成果の振り返りを行う頻度を高めることが効果的であることが分かり、今後の研究に生かしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的に沿って、第1年次に計画していた取組について、研究分担者との連携を図りながらおおむね推進することができた。 研究分担者との詳細な打ち合わせを6月7日に行い、それに基づき連携を図りながら研究を進めた。初年次の研究で重点を置いた文献調査については、その成果を8月23日に関西学院大学で開催された日本特別活動学会で発表したほか、開発した社会性測定用尺度を用いた調査結果を踏まえ、本年度の研究成果を愛媛大学教育実践総合センター紀要へ掲載した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、基本的には研究計画を踏まえて行うが、調査研究に協力をしていただいている学校の希望を踏まえつつ、研究の目的が達成できるようにしたい。 当初の計画から一部変更する点は、研究者と調査対象校との連携を重視しながら研究を進めることが重要であることから、調査対象校の数を絞り込むとともに、社会性測定用尺度を用いた調査の実施頻度を高めることである。これにより、学校の主体的な取組を促し、より効果的な道徳性育成方策を探っていきたい。そして、本研究の成果を踏まえ、次回研究において、より大規模な調査を中心に据えた研究を行っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の一人が、本研究に取り組むための時間が十分に確保できなかったため、学会発表のための予算を使いきれなかったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
研究分担者との打ち合わせの場を増やし、より緊密な連携体制を構築するとともに、学会発表の機会を増やす。
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