研究課題/領域番号 |
15K13242
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
小林 由利子 東京都市大学, 人間科学部, 教授 (50245297)
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研究分担者 |
椛島 香代 文京学院大学, 人間学部, 教授 (00383307)
花輪 充 東京家政大学, 家政学部, 教授 (10572711)
木村 浩則 文京学院大学, 人間学部, 教授 (40315271)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 保育者養成 / 感性 / 演劇教育 / プログラム開発 / 保育者資質 / ドラマ教育 / 演劇的手法 / 遊び |
研究実績の概要 |
1.先行研究の検討:①平成27年度平均月1回会議を開催した。「感性」についてドナルド・A・ショーンと竹内敏晴と中村雄二郎の理論を検討することを通して、中村の「感性」のとらえ方を基盤に研究を推進することにした。これまでの成果を「授業を通した保育者資質としての『表現力』の育成-演劇的手法の可能性に着目して-」(2016)にまとめ、一般社団法人全国保育士養成協議会『保育士養成研究』第33号に投稿し、採択され、掲載された。 2.東京都市大学・文京学院大学・東京家政大学において、仮説プログラムを実施し、記録し、検討し、修正するプロセスを繰り返す、アクション・リサーチを実施した。これらを通して、平成28年度仮説プログラムを作成した。 3.ボローニの幼児祁の文化と演劇フェスティバル実地調査において、俳優が観客を劇場に招きいれるところから作品がはじまり、最後は幼児が舞台に上がり舞台装置を使って遊ぶまでは、作品の一連の流れになっていることを明らかにした。俳優は、幼児に直接的と間接に働きかけていた。乳幼児演劇のための俳優に即興性が求められていることを明らかにした。乳幼児のための演劇作品は世界的に見ても少ないので、フェスティバルが新しい人材を発掘したり、作品を委嘱したり、実験的に創作過程の作品を上演したり、シンポジウム/レクチャー/フォーラムを同時開催して乳幼児のための演劇を普及・発展させるようにしていた。乳幼児のための演劇作品は、子どもの遊びを基盤にして、乳幼児が自然に想像世界に入っていけるようすることの重要性を明らかにした。たとえば、俳優が、俳優から登場人物になる過程を見せたり、登場人物になったり俳優になったり自由に想像世界と現実世界を行き来し、モノを何かに見立て、子どもが観客から登場人物になっていた。いいかえれば、遊び/ドラマ/演劇連続体を体現している作品が多数上演されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1.先行研究について:平成27年度日本乳幼児教育学会大会のシンポジウムと一般社団法人全国保育士養成協議会『保育士養成研究』の査読有に採択され、「感性」について検討することができた。さらに、3つの遊び/ドラマ/演劇連続体による保育士資質としての「感性」の育成のためのプログラムを試行し、検討し、今後の課題を明らかにすることができたため。 2.プログラムの事例研究について:平成27年度の3大学の授業において、仮説プログラムを実施し、修正することを繰り返し、研究代表者と共同研究者によるプログラムの検討会を通して、情報を共有して、修正プログラムの方針を立てることができたため。 3.ボローニャの幼児期の文化と演劇フェスティバル実施調査により、演劇作品等を鑑賞し毎回振り返りをすることを通して、遊び/ドラマ/演劇連続体の考え方の具体例を検討することができ、乳幼児のための演劇の特徴を明らかにすることができたため。 4.その他:新たに調査が必要なことを明らかにすることができた。ニュージーランドの幼児教育のガイドラインである「テ・ファリキ」と「ポートフォリオ」と「ラーニング・ストーリー」は、本研究を推進するために調査が必要であrり、オーストラリアのウーロンゴン大学教育学部附属「Early Start]という幼児教育研究センターと探索型子ども博物館の調査が必要なことを明らかにすることができた。この博物館は、子どものごっこ遊びを基盤にして、さまざまなモノを使い、来館者の子どもが誰かになって演じるようになっているので、本プログラムの開発にとって新たなアイディアを得られると予想される。さらに、ニュージーランドとオーストラリアの幼児教育のガイドラインは、子どもの遊びを基盤にしている。したがって、プログラムの開発に具体的に取り入れられる調査場所と内容と研究を通して限定することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
1.平成27年度にボローニャの幼児期の文化と演劇フェスティバル実地調査を実施し、乳幼児のための演劇と遊び/ドラマ/演劇連続体について成果を上げることができたので、スウェーデンのBibuフェスティバルではなく、 遊びをベースにした幼児教育を実施しているニュージーランドとオーストラリアの指導要領についての調査を実施し、具体的にどのような保育者養成を行っているかを調査する。さらに、オーストラリアのウーロンゴン大学教育学部附属の研究センターと探索型子ども博物館が融合したEarly Startについての調査を実施する。この子ども博物館は、子どものごっこ遊びを基盤にしている。さらに、各コーナーにファシリテーターが存在する。ファシリテーターが子どもにどのような援助をしているかを明らかにし、ファシリテーターをどのように養成しているかを調査する。 2.平成27年度版プログラムを修正した、平成28年度版仮説プログラムを3大学の授業において実施し、アクション・リサーチを実施し、振り返り、修正プログラムを作成する。さらに3大学の実践を検討して、最終版プログラムを作成する。 3.本研究の成果をまとめ、査読のある学会に論文を投稿する。 4.開発したプログラムを普及するために保育者養成教員向けワークショップを企画、運営、実施する。 5.本研究の成果を報告書にまとめ、保育者養成校に配布する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度にノート・パソコンの購入を予定していたが、納入時期が間に合わなかったため次年度に購入することにしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度にノート・パソコンの購入予定。
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