本研究では、「発達障害のある児童生徒への健康相談における合理的配慮」についての具体的な提案を行うことを目的としている。養護教諭と関係教職員による健康相談や保健指導を充実していくためには、発達障害のある児童生徒に対して合理的配慮の観点を踏まえた健康相談についての実践的な研究が必要不可欠である。またその研究成果を広く発信することで、さらに研究を深めることが可能となる。平成29年度は、平成29年度までに実施した質問紙調査、面接調査、エスノグラフィー調査で得た知見を各種学会、研究会で報告した。日本児童青年精神医学会総会におけるポスター発表「発達障害のある子どもを対象とした健康相談における合理的配慮」では、教員と養護教諭が連携して合理的配慮を行なった内容として、[本人への支援内容の検討][不登校への支援][保護者への支援][個別の支援計画][感覚の特性についての支援]を報告した。日本小児保健協会学術集会におけるポスター発表「養護教諭がとらえる健康相談における合理的配慮 発達障害のある児童生徒への心理面・健康面の合理的配慮の観点から」では、発達障害のある児童生徒が困難になりやすい場面や状況について養護教諭自身が理解し、その際に必要となる支援について周囲の児童生徒にも説明していた人が5割以上であったこと等、養護教諭の観点を明らかにした。さらに小学校・中学校・高等学校の保健室に入るエスノグラフィー調査の結果を加え、大阪市立高等学校人権研修「通常の高等学校で学ぶ発達障害のある高校生とその保護者理解について」、滋賀県養護教諭研究会第2回研修会「発達障害のある児童生徒の支援における養護教諭の役割」、岡山県学校保健会養護教諭部会研修会「災害時の学校保健の役割~東日本大震災を経験した保健主事・養護教諭の話と合理的配慮の観点から考える災害時の支援~」において報告した。
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