研究課題/領域番号 |
15K13246
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
平賀 瑠美 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (70327021)
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研究分担者 |
寺澤 洋子 筑波大学, 図書館情報メディア研究科(系), 助教 (70579094)
松原 正樹 筑波大学, 図書館情報メディア研究科(系), その他 (90714494)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 聴覚障害 / 拍 / 音楽テスト / 認識 / 生成 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、参考とする音楽テストBeat Alignment Test (BAT) を作成したUCSDのIversen研究員が連携研究者として来日し、聴覚障害者の音楽聴取とオリジナルのBATを用いた健聴者を対象とした実験からの知見についての情報交換を行い,今後の共同研究の進め方について話し合った. オリジナルのBATでは,テスト参加者が予め準備された楽曲を聞いて拍をとる拍生成と,楽曲とメトロノーム音を合せ聞いてメトロノームが拍とずれているかどうかを判断する拍認識の二つから構成されている.Iversen連携研究員が日本滞在中に,聴覚障害者によるBATのフィージビリティテストを行ったところ,オリジナルのBATで用いている楽曲では拍をとることが困難であるものも半分程度あることがわかった. オリジナルのBATでの楽曲は聴者が拍を認識するための難度が考えられていたが,聴覚障害者の音楽聴取を測るための音楽テストでは,聴者とは異なる難度の基準が必要であることがわかった.難度として,音楽のリズムそのものの複雑さ,拍を刻む楽器の種類,音楽を構成する楽器の種類が候補となりうる,という予測をたてた.平成28年度はこれらの点から聴覚障害者の拍認識の難度を明らかにすること,難度に基づき聴覚障害者の音楽テストで使用する楽曲を作成すること,実際にその音楽を使用することでテストが成立することの確認のために実験を進めていくことにした. 海外の連携研究者との話し合い,フィージビリティテストの実施とその考察には研究代表者平賀と研究分担者の寺澤,同松原の三人で参加したが,特に研究代表者は今後の研究の進め方,研究分担者の寺澤は拍認識についての考察,同松原は楽曲に関する考察に関しての役割を担った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健聴者を対象とした音楽テストBeatAlignment Test (BAT) が聴覚障害者にも使えるかどうかについて,聴覚障害者を対象としたフィージビリティテストを行い,適切な音楽マテリアルを用いることが重要であることを確認できた. アメリカのBAT開発者と共同研究を進めることで,国内に限定されない音楽テストとして提供できる道筋が見えた.
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今後の研究の推進方策 |
聴覚障害者にとって音楽テストを意味のあるものにするため,拍をとることにおける楽曲の難度の基準を決める.平成28年度は,楽曲を演奏する楽器の音色に着目する.音色について,拍のとりやすさと音響特徴の関係を明らかにする.そのために,聴覚障害者の音楽テストで用いる音楽コンテンツの作成とその音響データ解析,作成した音楽コンテンツを用いて聴覚障害者を被験者とする音楽テストの実験を行う. 研究代表者の平賀は実験,研究分担者の寺澤は音響データ解析,研究分担者の松原は音楽データの作成を主として担当する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者寺澤が海外出張を予定していたが,本務の都合により行けなくなった.
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度として,聴覚障害者の拍認識についての音楽をテストを作成するため,オリジナルのBATとは異なる楽曲を作成し,聴覚障害者を対象とする実験を繰り返す.平成27年度の成果発表や,海外の連携研究者とのディスカッションのための費用も含め,本年度研究経費と合せ使用する.
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