研究課題/領域番号 |
15K13250
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
植田 健男 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (10168627)
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研究分担者 |
佐藤 剛介 名古屋大学, 学生相談総合センター, 特任講師 (30632153)
望月 直人 大阪大学, キャンパスライフ支援センター, 特任准教授(常勤) (20572283)
村田 淳 京都大学, 学生総合支援センター, 准教授 (00742305)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高等教育 / 障害 / 合理的配慮 / エビデンス / 修学支援 |
研究実績の概要 |
高等教育機関において、障害学生の修学支援についてのエビデンスが少ない現状を鑑み、障害者差別解消法施行後2回に渡り、高等教育機関の障害学生支援担当者に対して悉皆調査を行い、かつ支援サポーター学生、障害学生に対しても調査を実施した。 その結果、支援担当者の専門性が必ずしも高くない可能性が示された。5割相当の支援担当者が、事務職と嘱託職員に該当し、専門職は常勤や非常勤を入れても2割に満たないことが示され、また教員籍も3割に満たないことが示されている。また、障害学生支援担当者の足場の悪さが示唆された。契約年数のある支援担当者が多く、契約期間が3年以内の支援担当者が5割以上であり、1年以内の契約期間の者が3割近くもいた。そして、これまでの障害学生の修学支援経験の有無および所属担当部署が適切にそれら修学支援を提供できるかどうか尋ねたところ、生活介助、インターンシップ先の開拓・連携、就職先の開拓、就職活動支援、医療機器、薬剤の保管等、ビデオ教材字幕付・文字起こし、点訳・墨訳、リーディングサービス、手話通訳については、支援提供に自信がないと答える支援担当者が多いことが示された。高等教育機関では障害学生支援体制整備が進められているが、未だ改善の余地がある。 また、障害学生に対する調査においては、障害学生と障害のない学生で、幸福感や自尊心、精神的健康等を比較した結果では両者に差が示されなかったが、障害を理由とした学内での困りごとについての自由記述回答を確認したところ、通常の修学に関する合理的配慮の枠組みでだけでは解決できない困りごとが示され、困りごとの約4割は未解決だった。修学上の合理的配慮だけではなく、学生生活全般について支援が必要な可能性が示唆された。幸福感や自尊心、精神的健康等に障害学生とない学生で差異が示されなかったが、セレクションバイアスの可能性もあり今後さらなる検証が必要である。
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