研究課題/領域番号 |
15K13251
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
平賀 健太郎 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (30379325)
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研究分担者 |
岡崎 伸 地方独立行政法人大阪市民病院機構大阪市立総合医療センター(臨床研究センター), その他部局等, その他 (40586161)
副島 賢和 昭和大学, 保健医療学部, 准教授 (00649436)
中尾 繁樹 関西国際大学, 教育学部, 教授 (50515369)
新家 一輝 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90547564)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 小児緩和ケア / 学び / 専門性向上研修 / 命を脅かす疾患 / 大学生 |
研究実績の概要 |
本研究では、小児がん等で小児緩和ケアの対象となる子どもにホスピス施設内で学びの提供がもたらす効果を調査している。昨年度は、緩和ケアの対象となる子どもに学びを提供するスタッフ養成研修プログラムを構築し、その効果を検証した。その後、研修を受けたスタッフは、ホスピス施設内以外の場所で、命を脅かす疾患を有する子どもと関わり、研修の効果や課題が明らかとなった。 今年度4月にオープンした日本で初めてのコミュニティー型こどものホスピス施設内には、教室をイメージした空間が用意されている。子どもによって利用頻度や滞在時間は異なるが、数名の緩和ケア対象の子どもが、朝から夕方までを過ごし、要望があればスタッフとともに「学ぶ」時間を過ごすことができる。子どもたちやその家族にとって、その時間が安全・安心なものとなるためには、スタッフに過去の経験や個人の能力に依存しない一定の専門性を備えておくことが求められ、我々は今回、医学的側面の理解や心理社会面に即した関わりの出来る人材を養成しようとしている。 我が国の小児に対する緩和ケアはほとんど未発展である。本研究での取り組み・成果を通じて、学びの要素も含めて多領域のアプローチを結集した小児緩和ケアモデルを展開する重要性が広く発信されることで、病状が重く、早期に人生を終える子どもが、どこにいてもどんな状況にあっても、その子どもらしく生きることの重要性を社会全体で考える契機となると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
こどものホスピスでまなび支援を行うための研修会が、平成27年4月~7月に5回にわたって行われ、約70名が参加した。研修を受けた者の中には、その後、実際に命を脅かす病気を有する子どもと関わり、まなび支援を行った。研修前後でのアンケート調査を実施したが、受講生からは緩和ケアを受けている子供を対象に学び支援を行う上で有益であったと、概ね高い評価がなされていた。調査は当初の研究計画に沿って進んでおり、順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年4月にはこどものホスピスが開設される。今年度は研修を受けた者が、ホスピス施設内で学び支援を行い、緩和ケアを受けている子どもへの学びを提供する効果や意義について検討する準備を進めている。こどもホスピスを利用する子どもの人数や利用時期、その頻度を事前に予想することは困難であるが、利用者の状況に即して学び支援を行うことのできる体制を構築することを目ざしている。また、今年度も、新たな対象者に対して、第2回まなび支援講座が5回にわたって実施される。昨年度の受講生の感想をもとに研修内容や、研修の間隔が変更される予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算は、研修会の講師の旅費を中心に計上しており、大阪(研修会場)と東京との交通費および、宿泊費が発生すると予想していたが、研修会の日程が講師の大阪での別の用務と重なったため、交通費および宿泊費を必要としなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
使用されなかった予算については、今年度以降、研修講師の交通費や、学生へのホスピス施設内での活動、およデータ処理の謝金として利用することを検討している。
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