本研究は、SiGe/Si界面での電子の波数保存則を成り立たせるように設計することで熱伝導率を低減させながらも、試料中の電気伝導率を増大させて、熱電特性の向上を図ることを目的とするものである。まず、本概念に基づく最適構造として、熱伝導率の低減を効率的に行う観点でSiGeナノドット/Si積層構造を提案し、その形成方法を開発した。次に、波数による電子輸送操作の実証のために、SiGe/Si超格子の電気特性を調べた。その結果、Si薄膜と同等の移動度を得ることに成功した。提案した電子輸送が起こっているかどうかの実証には、更なる研究が必要であるが、予想の結果を得ることができた。
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